昨年末(2020年12月)に島忠がニトリ傘下となり、早くも半年以上が経ちました。6月には島忠ホームズ宮原店がニトリホームズ宮原店にリニューアルするとともに、島忠ホームズの他の店舗にも順次ニトリの商品が導入されていくとの報道がありました。
世の中の流れを見れば、粗利の高いプライベートブランド商品をほとんど持っていない島忠ホームズにニトリのそれが導入されるのは当然のことです。しかし、久しぶりに訪れた島忠ホームズの店内を見て、私は愕然としました。収納用品や家庭用品など、ニトリで扱っている商品はすべてニトリ製品に置き換えられ、ニトリでこれまで扱っていなかった洗剤などの日用品、自転車用品、DIY用品、ペット用品などだけが残るという未来しか見えなかったからです。
DCM、コーナン、カインズ、コメリなど、大手ホームセンターはプライベートブランド商品が増えており、それぞれ独自性は打ち出されているものの消費者としては選択肢が狭まってきています。その点、島忠ホームズはプロパー品がほとんどすべてを占めているため、他店では扱っていない商品を見ることができて私にとっては楽園でした。しかし、ニトリに支配されたことで収納用品売場などはほぼニトリと同じになってしまったのです。
これはまったく誤算でした。いや、勝手にバラ色の未来を思い描いていた私が馬鹿だったとしか言いようがありません。
もちろん、これからもamazonや楽天市場で探せばプロパーの収納用品は手に入ります。しかし、実際に店頭で見る機会がなくなることは消費者にとってとても大きなデメリットです。メーカーとしても頑張って新商品を開発しようという意欲が失われることでしょう。
とは言え、アパレル業界でかつての定番ブランドがどんどん撤退する一方で、ユニクロで十分と言う人が増えていったように、家具インテリア業界もまったく同じ流れなのだと思います。そんな風に観念して、今回は、ニトリ化でシマホの店頭から消えゆくであろう定番の収納グッズを偲びたいと思います。
※この記事は2021年8月10日時点の情報に基づいています(2023年7月26日一部更新)
アイリスオーヤマ・CBボックス
20年近く前に私が収納のプロになった頃は、近藤典子先生を筆頭にカラーボックスをアレンジする収納法が大人気でした。その後に発売されたアイリスオーヤマの「CBボックス」シリーズはどこにでもネジを留めることができ、オプションパーツも豊富で、私もたくさん使いました。
一方で、ニトリには「カラボ」があり、CBボックスほどではないにせよオプションパーツもあります。また、組み立てが簡単な「Nクリック ボックス」もあります。今となってはCBボックスじゃないとダメということはほぼないのですが、なかったらやっぱり寂しいものです。
ドウシシャ・ルミナスラック
ニトリには「スチールラックSTANDARD」などがありますが、所詮は売れ筋で低価格の防錆加工も施されていないものばかり。ドウシシャの「ルミナスラック」ほど豊富なラインナップやオプションパーツはありません。
百歩譲ってルミナスラックならコーナンやDCM系列でも扱ってますが、アイリスオーヤマの「メタルラック」シリーズをフルラインナップで扱っているシマホは貴重な存在でした。
天馬・フィッツユニット
引出式衣装ケースを買いに来て、「セレスFD」を見てまあこんなものだろうと思ってしまうのはもったいないですよねー。天馬の「フィッツユニット」は高価ですが、実際に店頭で引き出せばその違いが分かってもらえるはずです。
もっとも、ニトリの価格帯でフィッツユニットを売るのは難しいとは思います。それでも、ニトリホームズなら売れる可能性があるはずですし、消費者も求めているところなのではないでしょうか。
天馬・プロフィックス カバコ
ニトリには「Nフラッテ」があります。けれども、同じお金を出すなら天馬の「プロフィックス カバコ」のほうが国産でクオリティーが高いし、スライドインする扉で使い勝手も良いです。
粗利が高いというのはお店にとっては都合の良いことですけど、消費者にとってはメリットではありません。
サンコープラスチック・シューズストッカー ダブル
シマホがニトリ化して一番困るのが、関西ではほとんど取り扱いがなかったメーカーの収納グッズが手に入りにくくなることです。たとえばサンコープラスチックの「シューズストッカー ダブル」とか。吉川国工業所の「くつホルダー」よりも断然使い勝手が良いです。
そのほか、従来のシマホなら布団圧縮袋もたくさん種類がありましたよね。ゴミ箱のコーナーも圧巻でしたし、各メーカーが切磋琢磨して新商品を投入していました。店長の権限が大きかったので、同じシマホでも店舗によって違いが感じられました。
ちなみに、家具売場のほうもどうやらほとんどニトリの商品ばかりになって、あとはカリモク家具など指名買いがありそうなメーカーのものが少し並ぶくらいの感じになりそうな気配です。粗利重視でオリジナル家具ばかりになるのはシマホも同様でしたけど、ニトリ傘下ではさらにその傾向が強まるとともに低価格品中心になっていきそうです。
いやー、私の考えが甘かった。今後はシマホに足を運ぶ機会がかなり少なくなると思いますが、同時に多様な収納グッズを買い求める消費者のニーズは高まると思うので、私としてはそのお役に立てるような情報発信に努めてまいりたいと思います。
コメント
松戸市在住ですが、島忠閉店後の建設現場を見続け店舗の大きさに期待していたのです。・・・が、今月の午後にニトリへ行って落胆しました。
生活用品や家電、さらにはDIY関連が全く(中華系は一部置かれていましたが)無い!
夕刻にも関わらず客は二桁に届かず店員も数名しか見かけないし(平日だから?)照明は暗くて第一印象は最悪。
新装開店後1ヶ月ほどしか経っていないとは思えない有り様でしたよ。
この会社は周辺住人が何を求めているかリサーチしたのでしょうかね。
不況もあって、基本的に物を持たない現代人はもとより中高年層だって家具など頻繁に買い換えないです。まあ、島忠時代も昔ほど客は来ていませんでしたが、思い立って赴けば必要な品(材木や部品、工具や肥料等々) が直ぐに入手できる場があるのは貴重でした。確かに松戸市内にホームセンターや家電量販店は有ると検索すればでますが、そのほとんどは東側。
路線で東西に分断されているがゆえに気軽には行けないのが現状です。
個人的には、行く価値がないと判った事が唯一の収穫かな。
ノスタル爺さま
はじめまして^^
松戸市周辺の地図を見てみると、ここはホームセンターが欲しいところですよね。
品揃えで言えばロイヤルホームセンターに負けることもないでしょうし。
ただ、古い店舗なのでそろそろ大規模リニューアルが必要。
島忠の他の店舗と違ってテナント貸しするスペースもない。
でも、島忠をただリニューアルしたところで粗利が見込めない。
一方で、ニトリホームズ業態はうまくいっていない。
じゃあ、ニトリにするか!
…ってところでしょうか。
ニトリは販管費の管理がシッカリしていて、客がいなければ店内を消灯していたりします。
売場が広いのにレジは1台しか開いていないということもよくあることです。
オープン時は客が少なくても、近隣への周知が進めば自然と客が流れてくるようになっています。
私は大阪在住ですが、もともと島忠ホームズは大阪府内に5店舗ありました。
それが現在は3店舗で、いずれもテナント貸しが増えて売場が縮小しています。
おまけに、ニトリ傘下になってからは、インテリア、家庭用品、寝具などのいくらかはニトリの商品に入れ替えられ、あまり魅力が感じられない売場になってしまいました。
かと言って、意外とニトリの商品が入っていない家具売場が魅力的かと言うとそうでもなく。
近くの東京インテリア家具に負けていると感じます。
DIY関連についても然りで、品揃えで言うとロイヤルホームセンターには負けませんが、ビバホームやロイヤルホームセンター、コーナンなどのPRO業態と比べるとパッとしません。
日用品はドラッグストアに完敗しており、総じて惨憺たる状況です。
似鳥さんが手を焼いているのも分かるように思います。
島忠はもともと店長の裁量が大きい店です。
売上が芳しくなければ人事異動が容赦なくおこなわれました。
社員に厳しく、お客さんファーストの典型的なお店だったと思います。
現在はどうだか分かりませんが、おそらくニトリ傘下になる前から本部主体の運営となり、店長などは責任だけ押し付けられて現場はモチベーションが下がっていたのではないかと思います。
ニトリ傘下になってからはおそらくすべて本部主導、現場は駒でしかないでしょう。
島忠ホームズについては一通り手を尽くしてみてダメなら全部ニトリになってしまう運命ではないでしょうか。
ニトリとしては美味しい不動産購入案件だったと思いますよ。