無印良品のスチールユニットシェルフとステンレスユニットシェルフ。かたやスチールでかたやステンレス。確かにステンレスのほうがキラリとしてカッコイイ感じがしますが、果たしてそれだけの違いでしょうか?
そんなわけで今回は、無印良品のスチールユニットシェルフとステンレスユニットシェルフの違いに迫ってみたいと思います。
ステンレスの帆立の価格はスチールの2倍以上!
無印良品のユニットシェルフのスチールかステンレスかの違いは主に、帆立(上写真=両側のラダー状のパーツ)とクロスバー(背面のX字パーツ)の素材の違いです。その中でもパーツが大きい帆立だけを取り出して価格を比較してみると、約2.4~3.1倍も価格が違うことが分かります。
スチールのエポキシ樹脂塗装とステンレスを比較した場合、ステンレスのほうが価格が高いのは一般的なことです。無印良品のユニットシェルフはステンレスの記号が明示されていないので正確にはその価格の妥当性は判断できないのですが、まあロット(生産本数)の問題もあるので(おそらくはステンレスのほうが生産が少ない)、別にぼったくっているわけではないと思います。
一般的にステンレスはスチールに比べて錆に強いと言われます。また、耐熱性、耐薬品性、耐食性もあります。そんなわけでステンレスユニットシェルフは主にキッチンなどの水周りで使用するのに適していると言えます。
一方、スチールユニットシェルフの場合は錆びやすいのかと言うと、私はそんなこともないと思います。10年以上、室内で使っている無印良品のスチールユニットシェルフがあるのですが、まったく錆びていませんし、塗装がはがれたり変質するようなこともありません。現在の無印良品のスチールユニットシェルフはライトグレーのエポキシ樹脂塗装である一方、私が持っているのはシルバー系の塗装のため、塗装の種類が違う可能性もありますが、おそらくは塗装の性質は大きくは違わないだろうと思います。
スチールユニットシェルフを普通に使っていて塗装がはがれることがなければ、水分が浸透して錆びることもありません。よってスチールユニットシェルフも一般的に想定しうる使用シーンにおいては基本的に錆の心配はないと言っても良いと思います。ただし、特に棚板はキズが付くことで錆びることがあります。また、キッチンなどの水周りで使用する場合はやはりステンレスのほうが安心と言えるでしょう。ちなみに、水周りではクロムメッキのメタルラックでもサビます。
スチールとステンレスでは木製棚板にも違いが!
無印良品のユニットシェルフはスチールもステンレスも基本的に同じサイズとなっており、物理的にはスチールの帆立にステンレスの棚板を取り付けることも可能です。ただ、棚板の金具の色が異なるため、現実的にはそういう使い方をする人はまずいないと思います。
金属製の棚板を比較した場合、ステンレスはスチールの倍以上の価格となりますが、棚板はモノの出し入れによってキズが付く可能性が高く、スチールの場合は塗装がはがれてそこから錆が生じる可能性があります。
あと、スチールユニットシェルフには木製棚板(※)、ステンレスユニットシェルフにはウォールナットとオークとタモの木製棚板があるんですが、価格は1.5倍前後となっています。木製棚板は金属パーツが少ないのになぜそんなに価格に違いがあるかと言うと、材質に違いがあるからです。
スチールユニットシェルフの木製棚板は材質を明示していませんが、おそらくはメープル(かえで)かそれに近い樹種かなぁと思います。家具用材にはいろんなものがありますけど、メープルだったら堂々とそう言えば良いはずなので、そうじゃないのかもしれないですね(以前はメープルと明記していました)。
一方のステンレスユニットシェルフの木製棚板にはウォールナットとオークとタモがあって、いずれも一般的に言って高級家具用材です。ウォールナット、オーク、タモの3者でも価格に微妙に違いがあることからも分かる通り、材質が良いほど価格が高くなるわけです。
ちなみに、以前は塗装にも違いがありました。スチールユニットシェルフの木製棚板はウレタン塗装、ステンレスユニットシェルフの木製棚板はUV塗装だったのですが、すべてUV塗装に統一されました。UV塗装とは紫外線を照射することで塗膜を硬化させる手法で、キズが付きにくいというメリットの半面、コストが掛かります。これをスチールユニットシェルフの木製棚板にも採用することで価格がアップしてしまい、スチールとステンレスの木製棚板の価格差は小さくなりました。
ともあれ、無印良品のステンレスユニットシェルフはスチールのほうに比べてキズやサビに強いだけでなく、木の材質にもこだわりインテリア性が高いと言えます。しかし、そのために材料費が掛かってしまっているというわけですね。
価格の比較
シリーズ | スチール | ステンレス | ||
---|---|---|---|---|
棚板 | スチール | ステンレス | オーク | ウォールナット |
セット・ワイド大 | 12,900円 | 28,900円 | 29,900円 | 32,900円 |
セット・大 | 9,990円 | 23,900円 | 25,900円 | 28,900円 |
追加棚・幅84cm用 | 1,890円 | 4,490円 | 3,590円 | 3,990円 |
追加棚・幅56cm用 | 1,490円 | 3,490円 | 2,690円 | 2,990円 |
追加用帆立・大 | 2,590円 | 6,490円 | ||
クロスバー・大 | 590円 | 1,490円 | ||
帆立補強パーツ・幅84cm用 | 1,490円 | 2,490円 | ||
つっぱりパーツ・大 | 2,390円 | 2,990円 | ||
高さ調整金具 | 790円 | 990円 | ||
ワードローブバー・幅84cm用 | 1,890円 |
※価格はすべて2019/06/26現在、税込 ※奥行はすべて41cm
最後に改めて価格を比較してみましょう。上表はそれぞれのセット品の主要サイズと主要パーツを比較したものです。
2019年春にスチールユニットシェルフのセット品が値下げされたため、相対的にステンレスユニットシェルフは従来にも増して割高に感じられるようになりました。ステンレスのセットはスチールの2~3倍ほど高価と言えます。
パーツをバラで買った場合も、現在はステンレスユニットシェルフにもスチール棚板がありますが、それでも2倍近いと感じるでしょう。
もともと無印良品ではスチールユニットシェルフが先にあって、ステンレスユニットシェルフはそれに派生した後発の商品です。そのためステンレスユニットシェルフは価格が高く、バリエーションが少ないという状態が長く続いており、あまり目立たない存在でした。しかし2014年にスチールユニットシェルフ同等のラインナップとなり、選びやすくなりました。
そんなわけで今まではあまり比較する余地がなかったのですが、これでようやく対等に比較検討できる状態になりました。冒頭でも述べた通り、一般的な室内での使用シーンにおいてはスチールユニットシェルフで問題ありません。スタンダードモデルとして無印良品っぽさを満喫するには十分と言えるでしょう。
一方、ステンレスユニットシェルフは価格が2~3倍程度しますが、それに見合った機能性とインテリア性が備わっていると言えます。2~3倍と言ってももともとが安いですから、それ以上の満足感はあるんじゃないでしょうか。
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