先日、IDC大塚家具の決算が発表されました。前期に続いて営業損失を51億円も垂れ流すこととなり、現社長の経営手腕に対する疑問の声がマスコミを中心に止まりません。
そのときに度々出てくるフレーズのひとつに「ニトリやイケアに負けた」というのがあります。確かに、たとえば立川高島屋の直接対決ではIDC大塚家具はニトリに惨敗を喫したと言っても間違いない状況です。また、ニトリは赤字を出すどころか、驚異的な成長を続けています。
しかし、イケアはどうでしょう?先日発表されたイケアジャパンの決算を見てみたいと思います。
※この記事は2019年2月27日時点の情報に基づいています
イケアジャパン、売上13%増も当期損失30億円
売上高 | 840億9100万円 |
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営業損失 | 9億6200万円 |
経常損失 | 8億2400万円 |
当期損失 | 30億3400万円 |
1月18日の官報に掲載されたところによると、2018年8月期のイケアジャパンの売上高は840億9100万円。前期の740億5900万円と比較すると約13.5%増となりました。これは2017年10月にオープンした長久手ストアの売上が貢献したものと考えられます。
一方で、利益面では営業損失と経常損失は前期よりはマシになったものの赤字継続、当期損失は大きく膨らんで30億3400万円となりました。2020年春開業予定の原宿駅前プロジェクトは先行投資がそれほど大きくないと思われますが、この巨額の損失の原因はいったい何なのでしょうか。
ともあれ、当期損失30億円オーバーというのは、奇しくもIDC大塚家具のそれと同規模になりました。
直近5年間の業績推移
上のグラフはイケアジャパンの直近5年間の業績推移を表したものです。前期は売上が落ちただけでなく利益面でも水面下となり散々でした。しかし、今期は3年ぶりに売上増となったものの、利益面では相当苦しんでいる様子がうかがえます。
イケアジャパン不調の原因は?
現在イケアジャパンは9店舗で営業しています。前述した通り、今期は2017年10月にオープンした長久手ストアの売上が貢献したはずですが、売上が約13.5%増えたというのは8店舗が9店舗になったということとちょうど計算が合います。
一方で、2017年8月にはオンラインショップの売上が約5%を占めるようになったとプレスリリースしていますから、既存店での売上はやや苦戦していると推測できます。今期の大赤字のニュースも含めて以前に比べるとほとんど話題に上がらないうえに、安い商品はごく一部で割高な商品が多い催眠商法みたいなやり方ですから、そりゃあ苦戦するのも致し方なしです。
ただ、これは日本に限った話ではないようで、昨年11月には世界で7,500人を削減するリストラ策を発表しています。昨年1月には創業者が亡くなっており、世界的に試練の時を迎えているようです。
ともあれ、営業面では業績は持ち直しつつあるので、大きな心配はないと思います。当期損失が30億を超えたと言っても、何かしら特別損失が一時的に膨らんだだけのようですし、まったく問題ありません。
2020年に国内14店体制を目指すという目標はまだ撤回されてませんし、あと数年でオンラインでの売上が20%を占めると予定しているそうなので、まあ来年~再来年には軽く年商1千億円を超えてくることでしょう。是非とも頑張って欲しいものですね!
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