「押入れハンガー」というと下写真のような定番の収納グッズです。
定番ではありますが、あまりオススメできない商品です。その理由はいくつかあります。
まず一つ目は、ハンガーパイプの耐荷重が10kg以下であることが多く、思ったほど多くの洋服は掛けられません。次に、奥の棚は掛けた洋服の影になるので、あまり使い勝手が良くありません。棚板の耐荷重も十分ではないので重いモノは乗せられませんし、何を置けば良いかちょっと考えてしまいます。さらに、ハンガー部分の高さがあまり高くないので、紳士物のジャケットを掛けると裾を擦ります。婦人物であれば問題ありませんが。
このような押入れハンガーを置くのであれば、奥にはスチールや木製の棚を置き、手前にはハンガーラックを、それぞれ別々に置いたほうが良いです。そうすると、一般的にコストは割高になりますが、期待通りの量の洋服を掛けたり、モノを置いたりすることができます。
そう言ったことを踏まえてかどうか、アイリスオーヤマからハンガーの向きを90度方向転換した新商品が発売されました。押入れスライドラックOSR-74という商品です。
※この記事は2016年6月19日時点の情報に基づいています(2023年8月13日一部更新)
押入れスライドラックOSR-74
前後にスライドする押入れハンガーは以前からありましたので、特別に画期的というわけでもありません。ただ、スライドハンガーにスライドバスケットがセットになったものは今までになかったと思います。
形としては従来の押入れハンガーと同じであるように見えて、それを90度回転して使いやすいようにハンガーと棚の部分をそれぞれ前後スライド式にしたというものです。
どっちつかずでかえって使いにくい
押入れスライドラックのフレームは角パイプでできているため丈夫そうに見えますが、ハンガーパイプの耐荷重は約10kg、メッシュスライドトレーは5kgとなっており、かなり無難に表示している感じがするものの、ちょっと心許ない感じです。
外寸はW約515×D約740×H約910mm。押入れ用の収納グッズは一般的に奥行が750mまでとなっていることが多く、これもそれに準じているわけです。ただ、一般的には押入れの奥行が850mm程度であることを踏まえると、十分にスペースが活かせるように思えません。また、ハンガーにしろメッシュトレーにしろ、手前にスライドできるのはせいぜい300mm程度で、半分も引き出せません。
つまるところ寸法は中途半端、使い勝手も中途半端で、これなら従来の押入れハンガーのほうが洋服の出し入れが容易で良いと思います。
押入れ用収納グッズに限らず、洋服を正面に向けて掛ける方法がオシャレであったり、出し入れがしやすいと誤解されていることが多いようです。しかし、ハンガーパイプは素直に左から右に渡してあるほうが洋服は出し入れしやすいです。
こういった収納グッズの場合、「スペースをいかに効率良く使うか?」ということがスタート地点になっています。しかし、収納はやはり自分にとって使いやすいということを第一に考えなくてはなりません。
スライド式、幅調節式など、可動ギミックがある収納グッズでオススメできるものは残念ながらほとんどありません。どうしても強度が低くなったり、モノを出し入れする際に引っ掛かってしまう部分が多くなって使いにくいのです。
収納グッズはやはりシンプルなものが使いやすく、美しいですね。
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