経産省の統計を見ると、ここ数年は食器棚の売上が毎年1割程度減り続けています。マンションでも一戸建てでもビルトインタイプにシェアを奪われている可能性もありますが、それよりも1世帯当たりの人数が減っていることのほうが影響が大きいのでしょう。世帯人数が少なければ大きな食器棚は要らないですからね。
食器棚メーカーもただ手をこまねいているわけではありません。家具販売店で食器棚を見ると、私が家具メーカーに勤めていた頃(約20年前)よりも格段に進化しています。価格だけを見れば高いことに変わりはありませんが、相対的に安くなっていると感じることが多いです。
ただ、正直に言ってあまり面白味はありません。パモウナ、アヤノ、エスエークラフト、松田家具など、どれも似たり寄ったりな感じになってきているからです。もっとも、使い勝手などに不便を感じているわけではないので、更なる差別化要因を見つけると言っても簡単ではないのですが。
そんな現状を打破すべくアヤノ(綾野製作所)が発売した「KEYNOTE(キーノート)」。先日見てきましたのでレビューさせていただきたいと思います。
※この記事は2019年2月14日時点の情報に基づいています(2023年8月26日一部更新)
アヤノ・KEYNOTE(キーノート)
キーノートが他の食器棚とどう違うのかというのは写真をご覧いただければ改めて申し上げるべくもなく。上台が箱ではなくオープンシェルフになっているのです。
アイアンのフレームが凛とした男前な雰囲気を醸し出すだけでなく、側板や扉がないことで圧迫感を軽減してくれます。従来の食器棚とは一線を画すデザインと言えるでしょう。
棚板は背板にハメ込み
上台はオープンラック風ですが、棚板は4本の支柱で支える構造ではありません。背板に溝が彫ってあり、そこに棚板をハメ込むようになっています。そのため、容易に位置を変えることが可能です。
しかしながら、この棚板は結構重いです。一方で、完全に固定されているわけではないので、下から突き上げると外れるんじゃないかと心配していしまいます。
棚板を4本の支柱で支える構造にすれば良かったんじゃないかとも思いますが、そうすると間に支柱を追加する必要があって見栄えがせず、また耐荷重の問題もあったのだと思います。このあたりは日本の多くのメーカーが抱えるジレンマですねー。
キーノートは冒頭の写真の組み合わせ(幅2200×奥行490×高さ2020mm+上置き)で税込50万円台になります。それでいて、上台は天板に重い家電などを並べることができるものの、棚板にはそれほど多くのモノを乗せることはできません。つまり、見た目はオシャレですけど、それほど実用的とは言えなさそうです。
しかしながら、食器は主に下台の引出しに収めるようにすれば、上台の収納量はそれほど重要ではないと思います。この価格帯に手が出る人なら設置スペースに困ることもなさそうですし、これはこれでアリなのではないでしょうか。
ただ、庶民の私としては、上台がオープンシェルフでもっと実用的な食器棚があれば良いのになーと思うところです。
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