大手ハウスメーカーも注意!イケてない収納の家を見極める10のチェックポイント

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クローゼット・イメージ

いろんなお宅を見て回っていると、思わず首を傾げてしまう収納の家を見ることがよくあります。家事などロクにしたことのない大工がドヤ顔で作ったんだろうなと思うところもあれば、有名俳優を起用したユニークなテレビCMでお馴染みの大手ハウスメーカーの家もあります。

クライアントに「どちらのハウスメーカーですか?」と聞きつつも、「やっぱりか」と思うことが多いほど、ハウスメーカーによって収納にも特徴が出てしまうものです。

今回は私が今までに見た、良くない収納スペースを備えた10の事例を紹介します。家を購入する前の内覧の際の参考にしていただければ幸いです。

 

クローゼットのパイプ径が38mm

一般的にクローゼットのパイプハンガーには25mm以上のステンレスパイプが使われます。太ければ太いほど洋服をたくさん掛けてもたわむ心配が少なくなるのですが、あまり太いと肝心のハンガーが掛けれなくなることがあります。

ハンガーを掛けるのに適したパイプの太さは32mmまで、35mm以上だとアウトの可能性が高く、38mmは論外です。

その他、ハンガーパイプが幅1800mm以上の場合は間に支えがなければ洋服の重みでパイプが落下してしまう可能性が高いです。こういう初歩的なミスを犯している工務店は要注意と言えるでしょう。

クローゼットを開けたら棚板が1枚もない

これも結構多い事例ですが、クローゼットを開けたら棚板が1枚も付いておらず、パイプハンガーもないということがあります。タンスなどをそのまま置くことができると言うこともできますけど、施主がそう指定したのであればの話で、普通はちょっとあり得ません。

あとでパイプハンガーや棚を取り付けるために下地を入れておいてくれればまだ良いのですが、基本的にこういう場合はコストを下げることしか考えていないので下地すらありません。購入者に負担を強いる作りと言えるでしょう。

 

クローゼットの奥行が90cm弱

押入れのような奥行のクローゼット

本来クローゼットは洋服を掛けるためのスペースであるため、奥行は60cm程度とするのが妥当です。しかし日本の木造住宅の多くは約90cmモジュールで設計されているため、クローゼットも押入れ同様に奥行90cm弱となっていることがまだまだ多いです。

クローゼットを押入れ同様に奥行90cm弱で作ってしまうのは設計が面倒臭いからという理由と、収納スペースは広ければ広いほど良いというステレオタイプに基づくものと考えられます。洋服を手前と奥で掛けられるので便利などと言うところすらあります。収納について何も分かっていないと言っているようなものですね。

 

ステップインクローゼットがある

ステップインクローゼット・イメージ

ウォークインクローゼットはウォークイン(歩き進む)することができて初めてそう呼ぶことができます。しかし現実にはウォークインできないステップイン(踏み込む)クローゼットが多いです。

ウォークインできても収納効率が悪いウォークインクローゼットも多くあります。というか、現状では十中八九そうです。ステップインクローゼットや収納効率の悪いウォークインクローゼットを作るくらいなら普通にクローゼットを設けたほうが良いでしょう。

 

120cm幅で引き違いの押入れ

押入れとは一般的に布団を収納するためのスペースです。逆に、布団を収納する以外に奥行が90cm弱もある収納スペースは必要ありません。せいぜい雛人形や五月人形が入った大きなダンボール箱くらいでしょう。

120cm幅の押入れに引き違いの襖を取り付けると、片側を開けたときの開口部は半分の60cm弱となります。しかしこれでは幅90cm以上もある布団を出し入れするのは困難です。120cm幅の押入れを設けるなら一般的にクローゼットに用いられる折れ戸を設置するのが妥当でしょう。

 

システムキッチンの吊り戸棚が背中側の壁に

最近はシステムキッチンの上に吊り戸棚を設けないことが増えています。どうせ吊り戸棚なんて使いにくいし、ないほうがダイニングキッチンが広く見えて良いというわけですね。そのこと自体は否定しませんが、建売りの住宅では型落ちなどのシステムキッチンが据え付けられ、本来システムキッチンの上に取り付けられるべき吊り戸棚が食器棚を置くスペースの上に取り付けられていることがまれにあります

これはパッと見て気づきにくいんですが、これがために食器棚の高さが制限されるだけでなく、食器棚と吊り戸棚の間に中途半端なスペースが生じてしまいます。吊り戸棚にはキッチンの手元照明がビルトインされていることもあるので、冷静に見れば極めて不細工でもあります。

 

中途半端な場所に床下収納

床下収納・イメージ

一戸建てではキッチンに床下収納が付いていることが多いですが、この位置が非常に中途半端でひどい場合は冷蔵庫が置けなかったり、食器棚のサイズに制限が生じたりすることが稀にあります

床下収納は基礎や配管に干渉しない必要があるとは言え、冷蔵庫や食器棚を置くことを考えれば普通はこんなことにはなりません。ならないはずなんですが、そんなことをやっちゃうのが収納のことをまったく分かっていない工務店なのです。

 

通路のようなパントリー

前述の収納効率の悪いウォークインクローゼットと同様ですが、少し幅の広い廊下のようなパントリーがキッチン横に設けられているケースがしばしばあります。パントリー自体はあれば便利だと思いますが、これではモノも置ける廊下を作っているようなもので、収納効率が非常に悪いです。

キッチンを中心とした水周りは設計が難しいのは確かですが、苦肉の策とは言えこんなデタラメな収納スペースを作っても仕方ありません。

 

洗面化粧台が賃貸グレード

住宅も商品ですからコストを下げることは大事です。ですからどうしても重要度が低いところからコストが削られていきます。とは言え目に見えやすいところからコストを削るとどうしても安っぽく見えますので、普通は分かりにくいところからコストを削るものです。そのため住宅設備はあまりコストカットのメスが入れられないはずなんですけど、比較的分かりにくいところと思ってか、洗面化粧台が賃貸住宅グレードの安いものが据え付けられているケースがまれにあります

もちろんそれで納得できれば問題ないわけですが、まあ普通は手をつけないところですので、洗面化粧台以外でも下手なコストカットがされていないかチェックしたほうが良いと考えるべきでしょう。きっと家中の至るところでアンバランスなコストカットがおこなわれているはずです。

 

洋室にも吊り戸棚を付けている

洋室にも吊り戸棚が据え付けられていることがあります。これはマンションに多いパターンなのですが、マンションはどうしても収納が足りないと言われることが多いので、少しでもそのネガティブな感情を払拭したいのでしょう。

でも洋室に吊り戸棚なんか付けられても何を入れて良いやら困ってしまうことが多いです。結局、小型家電の空き箱くらいしか入りません。吊り戸棚があることでかえって背の高い収納家具を置くことが難しくなったり、突っ張り式の収納家具が置けなくなったりします。

タダで付けてくれるわけではなくて購入者がお金を払って無駄なモノを買わされてしまっているわけです。非常に迷惑なことだと思います。

 

以上、私が今までに見た、良くない収納スペースを備えた10の事例を紹介しました。残念ながら工務店やハウスメーカーの多くが実際にやっていることですので、どれも当てはまらないということのほうがむしろ少ないくらいだと思います。

こういったことは建売り分譲だけでなく注文住宅でも起こり得ることです。収納だけでなく様々なことまで検討しなくてはならない中で、細部まで指定しきれないことだとは思います。しかし、モデルハウスなどであらかじめこういったところをチェックしておけば、その工務店やハウスメーカーがどれだけ収納のことが分かっているかを知るための尺度となり得ますし、細部の指定がしやすくなるはずです。

本当に悲しいかな、ほとんどの工務店やハウスメーカーは収納のことをまったく分かっていません。現状では買い手が入念にチェックするしかないのです。

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コメント

  1. けんけん より:

    こんにちは!
    収納マン、お助け下さい!
    現在中2長男の机まわりが機能出来なくなってます。机はカリモクのシンプルなもので、本棚等ありません。背面にパイン材ラックがありますが学校の教材、塾の教材、参考書、何故かおいてる定期テストのプリント、漫画本、増えて行く一方です。大きな鞄も山積みで…何とか整えたいとあれこれ考えてたのですが、幅90㌢の机にシンプルなラックを棚板を可動してはめ込み、上に本や参考書を置ければ、背面ラックに鞄や部活関連のものが置けるかと…。でも、なかなか内寸90㌢のラックが見つからず、お手上げです。
    アドバイス頂ければ嬉しいです。

    • 収納マン より:

      けんけんさま

      はじめまして^^

      > 幅90㌢の机にシンプルなラックを棚板を可動してはめ込み、上に本や参考書を置ければ、背面ラックに鞄や部活関連のものが置けるかと…。

      これはつまり、90cm幅の机を跨ぐようにして本棚を置くということでしょうか?

      カリモク家具の90cm幅のデスクということはボナシェルタ、ユーティリティ、ユーティリティプラスのいずれかでしょうか?
      現在中二ということですのでユーティリティの可能性がもっとも高いと思われますが。

      カリモク家具のボナシェルタの幅90cm用書棚QT3075だったら机を跨ぐようにして置けるかもしれません。
      もっともメーカーとしては推奨してくれないと思いますが。

      あとは伸縮式デスク上ラックのようなものを使うかですね。

      基本的には棚板の幅が90cmを超える書棚は木製では難しいです。一般的にスチール製となります。
      ボナシェルタの書棚の場合、ちゃんと組み合わせ可能か怪しいうえに高価です。
      スチール製の伸縮ラックだと不細工で揺れもありますが、価格は手頃です。

      あと、ユーティリティの場合、幅90cm書棚QS3085にQS3086を積み重ねて、デスクの奥側に置いてみるのはどうでしょう?
      いわゆる組み替え式デスクのような感じになって奥行方向にスペースを取ってしまいますが、それが一番安定感のある方法だと思います。