家電や書籍などを収納できるウォールシェルフを壁に造り付けたいというご要望はしばしばあります。ですが、素人目にはどれも同じ壁のように見えても、石膏ボード壁もあれば木質系の壁もあり、下地のあるなしなど見えない部分でいくつかの違いがあります。そのため、なかなか簡単には壁に棚などを取り付けることはできないのです。
というわけで今回は、壁面に収納をDIYする際にチェックしておきたい3つのポイントを紹介したいと思います。
壁の耐荷重は10kgまでと考えるべし
本棚の棚板と違って、「壁の耐荷重」と言われてもピンと来ない人は多いと思います。本棚の棚板に耐荷重を超えるモノを乗せた場合は、棚板が反ったり、棚ダボが外れて棚板が落ちてしまったりしますが、壁も耐荷重を超えるモノを乗せたり掛けたりすると、壁に取り付けた棚板やフックが落ちるだけでなく、壁がたわむことがあるのです。
壁1枚の耐荷重は10kgまでと考えるのが一般的です。どんなに幅のある棚板でも、どんなに立派な金具を使っても、木質系の下地に達する長さの木ネジを使わない場合は、壁1枚あたり10kgまで。
上写真のようなボードアンカーを埋め込めば20kgを超えても大丈夫と見る向きもありますが、私の経験上、やはり10kgまでと考えたほうが良いと思います。なおボードアンカーを使用する場合は壁に10mm以上の穴が開きますので、一般的には賃貸住宅では使用できません。
ちなみに、持ち家でボードアンカーを使用する場合は壁クロスをコの字型に切り込みを入れてめくり上げたうえで使用すると、あとで修復するのが容易です。
10kg以上なら下地を見つけるべし
棚板などを取り付けて乗せたいモノが10kgを超えるような場合は、やはり木質系の下地を探してそこに木ネジで固定すべきです。下地を探すには、上写真のような下地センサーや簡易な先端が針状になった道具を使用します。
壁の工法にもよりますが、一般的には45~90cm間隔で下地が縦方向に入っていることが多いです。逆に言うと、それより短いスパンでネジ留めする必要がある場合やピンポイントでパイプハンガーを取り付ける必要がある場合は、計画を断念せざるを得ない場合があります。
三方支え、床で支えることも検討すべし
DIYで壁に棚などを取り付ける場合はあまり難しく考えすぎずに、既存の造り付けの収納スペースを参考にしてみましょう。たとえば押入れの中段やクローゼットの枕棚を見てみてください。多くの場合、壁1面だけで支えているのではなく、その両側の壁でも支えられており、また幅が広い場合は床から帆立板を立てて支えていると思います。
壁1面では耐荷重が10kgしか得られませんが、三方の壁で支えることができれば理論上は10×3=30kgまで耐えることができるはずです。また、床で支えることができれば重力のほとんどを床で支え、壁で補助的に支える感覚で棚を設けることができます。
ただし、最近は防音のために軟らかいフローリングとなっていることが多いですから、そこにDIYで造作することはよくよく検討しなければなりません。私なら迷わず大工を呼びます。
結局、スチールラックを置くのが一番無難
このように壁に棚などを取り付けようとするといろいろ難しいことを考えないといけませんし、失敗したときのリスクを考えると、できれば避けて通りたいものです。そうすると結局、ドウシシャのルミナスラックや無印良品のステンレスユニットシェルフなどを並べたほうが難しいことを考える必要がなく、安心して使うことができます。
素人がDIYで収納スペースを作る場合、どうやったってプロのようには美しく仕上げることはできません。またプロであっても、しっかりとしたものを作ろうと思えば、壁をめくって下地を仕込んだり、床を補強する必要がある場合も考えられます。もちろんその場合は費用もかなり掛かる可能性があるでしょう。
個人的には、せいぜい「ハイパーフック・かけまくり」を使って造作するくらいが素人にはちょうど良いのではないかなと思います。
コメント