前回の記事でドライルームについて少し触れました。今回はドライルームについてもうちょっと掘り下げて考えてみたいと思います。
ドライルームとは?
ドライルームとは室内干し専用の部屋のことで、山小屋やスキー場の宿泊施設でも見ることができます。旧家の土間もドライルーム的に使われていることがあります。
現代の一般の住宅では、裏庭側にポリカーボネートで囲ったスペースを設けているいるケースや、マンションの場合はベランダがない代わりに室内物干し場が設けられているケースを見ることがあります。そのほか、洗面脱衣所の横にドライルームを設けていることもありますが、お目に掛かれる機会は滅多にありません。
現状のドライルームの間取りレイアウトのパターン
ドライルームについて調べてみたところ、思いのほか参考になる資料が少なくて驚きました。家事室同様、ただでさえ限られた床面積の中に部屋数や広さを確保するのが難しい中で、ドライルームを設けるのは非常に難しいという現状があるのでしょう。
個人的には、各部屋にクローゼットを設けるという奇妙な常識が覆れば、家事室やドライルームを設けることは十分可能だと思います。しかしながら現状は、まだまだ住環境の整備は発展途上なのでしょう。
それはさておき、現状ではドライルームを設ける場合、以下の3つのパターンが多いようです。
- 吹き抜けの2階に設ける
- 洗面脱衣所横もしくは洗面脱衣所兼として設ける
- 窓側に設ける
個人的には、吹き抜けの2階に設けるというのはどうかなと思います。そもそも熱効率の悪さなどで私は吹き抜けに対して否定的ですが、吹き抜けの2階に室内物干しを設けると1階から見えてしまいます。洗濯機を置く場所にもよりますが、家事動線も悪いはずです。
洗面脱衣所横もしくは洗面脱衣所兼としてドライルームを設けるのは良いと思います。洗濯機がすぐ近くにあり、家事動線もスムーズです。熱や湿気のコントロールも比較的しやすいと思います。
窓側に設けるというのも、洗濯物が乾きやすそうで良いでしょう。外干しのスペースが近ければ、家事動線に混乱も起きませんし、そもそも外干しスペースは必要なくなるかもしれません。ただ、限られた南面を占める可能性が高く、間取りレイアウトはなかなか難しそうです。
理想的なドライルームの間取りレイアウトを考えてみた
現代の住宅事情や、現状のドライルームの間取りレイアウトのパターンを踏まえたうえで、理想的なドライルームの間取りレイアウトを考えてみました。概ね以下のパターンが考えられるかと思います。
- シューズクローク兼ドライルーム
- 洗面脱衣所横または兼用でドライルーム
- 家事室兼ドライルーム
- 外干しスペース近くにドライルーム
- 衣裳部屋横にドライルーム
シューズクローク兼ドライルーム
私がもっとも現実的かつ理想的だと考えるのは、玄関に面したシューズクローク兼ドライルームがありそこから洗面脱衣所に通じるという間取りです。シューズクローク兼ドライルームはまさに土間の復権です。濡れて帰って脱いだ雨具や傘を玄関に入ってすぐの場所で干すことができますし、レジャー用品の乾燥作業も可能。そしてシューズクローク兼ドライルームが洗面脱衣所に面していれば、洗濯機から取り出した洗濯物を干すのも容易です。さらにこの間取りであれば戸建ての場合は窓を設けて通気を確保することも十分可能でしょう。
洗面脱衣所横または兼用でドライルーム
次点として、洗面脱衣所横にドライルームを設けるという方法が考えられます。言うまでもなく、洗濯機から取り出した洗濯物を干すのが容易です。間取りとしては洗面所兼ドライルームにしたほうが省スペースで現実的ですが、温度や湿度のコントロールのしやすさで言えばそれぞれを独立させたほうがメリットが大きいと考えられます。
家事室兼ドライルーム
家事室兼ドライルームにした場合は、取り入れた洗濯物を畳んだり、アイロンがけをするのに便利です。ただ、家事室をお母さんのための書斎と考えれば良いですが、家事室にこもって女性が家事をするというのはまるで女中さん(家政婦)みたいで、そもそも私は家事室というスタイルが好きではありません。洗濯物を畳むのは家族と一緒に、もしくは子供の様子を眺めながらリビングでするというのが理想的であるように思います。
外干しスペース近くにドライルーム
窓際にドライルームを設けるという間取りは、自然光を使って洗濯物を乾かすことができるので合理的です。外干しの場所が近ければ、外干しの際と部屋干しの際で動線がほとんど同じになるのでより合理的と言えます。
衣裳部屋横にドライルーム
水周りに近い場所、玄関に近い場所、南側の窓際というのは理想的ではありますが、全体の間取りを考える場合はやはりなかなか難しいことが多いでしょう。そこで次善の策として衣裳部屋近くにドライルームを設けるという方法も考えられます。衣裳部屋の近くであれば取り入れた洗濯物を収納するのが楽になるからです。
以上、5つのパターンが理想的なドライルームの間取りレイアウトではないかと思います。「○○兼ドライルーム」となっているものが多いのは、やはり住宅事情を考慮して、室内干し専用の部屋ではなく、他の部屋と共有化することで省スペースに収めることを目的としているからです。
部屋のインテリアや家事動線を考えると、やっぱりドライルームがあるとうれしいという人は多いことでしょう。現実的には難しいことが多いとは思いますが、スタンダードなものとなっていけば良いと願っています。
コメント
シューズクロークとドライルームを兼用してしまうと、においの問題がでないでしょうか?
シューズクロークには、カッパやコート等を掛けておくスペース程度にとどめた方がいいのでは、と思います。
戸建検討中さま
はじめまして^^
シューズクロークとドライルームを兼用した場合のにおいの問題、確かにあるかもしれませんね。
ただ、今回の話はあくまで住宅事情を踏まえたうえでの話ですので、どの部屋と兼用にしても何かしら問題は生じると思います。
また個人的には下駄箱周辺が臭うという感覚はないですし、通気と乾燥状態を保てば逆に臭いを防げるのではないかと考えています。