夜中にガシャンという大きな音で目覚めて様子を見に行ったら押入れの突っ張り棒が落ちていた…というのは割りとよく聞く話です。しかし、いくら強く突っ張っても何度も落ちてしまうというご相談もこれまで幾度となくうかがいました。
突っ張り棒が落ちてしまう原因はいくつか挙げられますが、代表的なのは5つです。今回はその突っ張り棒が落ちてしまう原因と、それぞれの対策を5つピックアップしてご紹介したいと思います。
原因1:斜めに設置してしまった
突っ張り棒は水平に突っ張ってこそ十分な威力を発揮することができます。正面から見て水平であることはもちろん、奥の壁とも平行でなければなりません。つまり、真正面から見ても真下から見ても壁と直角に接している必要があるのです。
対策1:壁や床からの距離をメジャーで測る
突っ張り棒が水平に取り付けられていることを確認するには水平器を使う必要はありません。突っ張り棒の両端で、床や天井からの距離をmm単位で確認すればOKです。また、同じように両端で奥の壁からの距離を確認すれば完全に水平になります。これで解決すれば0円で済みますね。
ちなみに、床からの距離を測る場合は突っ張り棒の両端の下側を基準にするのが良いでしょう。両端の中心部は見えないからです。
原因2:耐荷重オーバー
突っ張り棒が落ちるとき、もっとも多いのが既定の耐荷重をオーバーしているということです。洋服って意外と重いですし、濡れた洗濯物を干す場合はなおさらです。
突っ張り棒の中央にネジがないタイプ(スプリング式)はそもそもカーテンなどを掛けるためのもので、洋服を掛けるには耐荷重オーバーです。また、突っ張り棒の長さを伸ばして使用する場合は耐荷重が小さくなるので注意しましょう。
対策2:突っ張り棒を買い替え、掛ける洋服を減らす
耐荷重がオーバーしている場合は突っ張り棒を買い替える必要があります。上図のように、最大限に伸ばした場合は耐荷重が小さくなるので、必要な長さを確認したうえで、その場合の耐荷重が大きなものを選ぶようにしましょう。
また、突っ張り棒の耐荷重自体に問題がない場合は、洋服を掛ける量を減らす必要があるかもしれません。
原因3:滑りやすい壁面
ユニットバスのようなツルツルした壁面や、石膏ボードむき出しの場合は、突っ張り棒の端部が滑りやすくなります。
対策3:滑り止めシートを挟むなどする
滑りやすい壁面に突っ張り棒を設置している場合は、まずもっと滑りにくい壁面に設置できないか検討しましょう。もしそれが難しい場合は、上写真のようなキッチン用の滑り止めシートを小さく切って、突っ張り棒の端部と壁面の間に挟めばOKです。
100均のものでもまったく問題ありません。ただし、カーペット用のもので網目が粗いものは滑り止め効果が得られにくいので、できるだけ網目が細かいものを選ぶようにしてください。
原因4:壁面に下地がない
基本的に突っ張り棒は壁の中に間柱があるところなどに設置するのが原則です。間柱がない壁面に突っ張った場合、壁が緩やかに凹んできてしまう場合があります。そのような場合は強く突っ張れば突っ張るほど、壁面が凹んできてしまいます。
対策4:板や柱で補強する
手で強く押して凹むような壁面には突っ張り棒を設置しないのが得策です。しかしながらどうしてもそうする必要がある場合は、1×4材など厚みのある板を壁に立て掛けて、そこに突っ張るというのもひとつの方法です。
1×4材を固定する際はアイワ金属の「STAND BAR」(上写真)などを使うと良いでしょう。ただ立てかけるだけよりも安定します。ニューヒカリの「WALL BASE」で2×4材を立てて、そこにソケットとステンレスパイプを取り付けてしまうというのも良いと思います。
原因5:突っ張り棒が長い
突っ張り棒は最大で3mくらいの長さのものも販売されています。しかし、一般的にはクローゼットのパイプハンガーでも1mを超えると途中で支えが必要になるものです。突っ張り棒だけで1m以上の長さを確保するというのはどう考えても無理があります。
対策5:強力支え棒を使う
突っ張り棒の長さが1mを超える場合は、「強力支え棒」(上写真)を使うのが得策です。強力支え棒を使えば、両側の壁だけでなく床でも荷重を支えてくれます。
ちなみに上写真はクローゼット用の長いものです。押入れで使用する場合はそれよりも短い押入れ用を使うと良いでしょう。いずれも伸縮可能で、これから突っ張り棒を買う場合はセット品もあります。
突っ張り棒が落ちてくる原因と対策は主に以上の5つです。私のこれまでの経験で言うと、2番目の「掛けすぎ」と、4番目の「下地のない壁面に突っ張ってしまっている」というケースが多いと感じます。にもかかわらず、頑張って突っ張ろうとして壁面を凹ませてしまっているということが多いです。
残念ながら凹んでしまった壁面はリフォームでもしない限り元に戻すことはできません。そうならないようにするためにも、何かしら板を立て掛けたうえで突っ張るか、強力サポート板を使うようにしましょう。
強力サポート板は滑りやすい壁面にも有効です。価格は手頃ですし、設置や取外しも簡単なので、困ったら最初に試してみる価値はあると思います。
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