ポリプロピレン製チェストの最高峰と言えるのが天馬の「フィッツプラス」シリーズです。何と言っても、引出しの開閉がとてもスムーズ。また、引出ロック機構が付いているので、子供がいたずらをしにくく、転倒対策としても安心です。木製チェストに比べると軽くて移動も簡単。側板と背面がフラットなのでホコリが積もることがありません。完成品だからすぐに使えるというのもメリットと言えましょう。
競合するアイリスオーヤマの「HGウッドトップチェスト」と違って、引出前板が外れてしまうようなこともなく、耐久性が高いと言えます。2007年頃の発売以来、私も安心してクライアント宅に何台もお届けしました。
フィッツプラスは高価ですが、前述の通り様々な強みがあり、他社製品が追い付けない無双状態です。そのため、これまでにも姉妹商品がいくつも発売されています。
その中のひとつ、「フィッツプラス・イージー」はフィッツプラスのスタンダードモデルとは微妙に違う感じです。今回はイージーがスタンダードモデルとどう違うのかを説明したいと思います。
※2024年9月6日更新
天馬/フィッツプラス・イージー
フィツプラス・イージーは2015年に発売されました。イージーの登場より以前に発売された「プレミアム」や「メッシュ」が高級感を志向したのに対し、イージーはカジュアルなシリーズと言えます。
天板が違う
イージー | フィッツプラス |
どういうところがカジュアルなのかと言うと、まず天板に違いがあります。
スタンダードのフィッツプラスもイージーも天板はハニカム構造の木製天板です。ハニカム構造とはハチの巣状に加工した紙を合板でサンドイッチしたもので、軽く丈夫に仕上げることができます。
いずれも天板の構造自体は同じですが、フィッツプラスがMDF合板を上から被せるような形に整形しているのに対し、イージーはハニカムをパーティクルボードで囲ったうえで側面にテープを貼っています。そのため、フィッツプラスのほうが天板全体で荷重を支えることができる構造と言え、天板耐荷重に違いが生じています(イージー:10kg、フィッツプラス:20kg)。また、見た目はフィッツプラスのほうが美しく、一方でイージーのほうがコストを抑えられているとも言えます。
サイバリが違う
イージー
段数\幅 | 55cm | 65cm | 75cm |
---|---|---|---|
5段 | 14,800円 | 17,800円 | 19,800円 |
4段 | 13,800円 | 16,800円 | 17,800円 |
※税込価格はすべてテンマフィッツワールドの場合(2024年9月6日現在)
フィッツプラス
幅\段数 | 35cm | 55cm | 65cm | 75cm |
---|---|---|---|---|
7段 | 21,800円 | 24,800円 | 27,800円 | 28,800円 |
6段 | 24,800円 | |||
5段 | 16,800円 | 17,800円 | 19,800円 | 21,800円 |
深型4段 | 21,800円 | |||
4段 | 14,800円 | 16,800円 | 17,800円 | 18,800円 |
深型3段 | 19,800円 | |||
3段 | 13,800円 | 14,800円 | 16,800円 | 17,800円 |
※太字はイージーと共通サイズ
イージーは標準のフィッツプラスとサイズバリエーションも違います。イージーはサイズバリエーションを売れ筋に絞り込むことでも価格を抑えていると見られるのです。
標準のフィッツプラスと比較してイージーは1,000円から3,000円、約6~22%ほど安くなっています。サイズの小さなものほど価格差が大きいことから、天板のコストがより大きく影響していると考えられます。
カラバリが違う
2015年の発売当時、イージーは「フィッツユニット」と同じカプチーノ色1色でした。従来のフィッツプラスがアイボリー系だとすると、それよりもグレーが強い色です。また、天板の色もフィッツプラスのビーチ系ナチュラル色に対し、イージーはスプルース系のホワイトウォッシュ色になっています。
2022年からは幅55cmと幅75cmの5段タイプにホワイト色とブラック色が追加されています。しかしながら、現在はホワイト色は販売を終了し、ブラック色も在庫限りの様相です。おそらく、後述する「デコ」とカニバったのでしょう。
なお、イージーはホワイト色やブラック色だけでなく従来のカプチーノ色も天馬公式楽天市場店から在庫が消えつつあるので、イージー全ての販売を終了する意向なのかもしれません。
「デコ」は幅65cmのみ
「フィッツプラス・デコ」は引出前板がパンチングボードになっているのが特徴です。こちらもホワイトとブラックの2色展開となっています。しかしながら、デコはイージーよりもサイズバリエーションが限定的で、幅65cmのみです。
なお、デコの天板耐荷重はイージーと同じ10kgながら、価格はフィッツプラスと同じです。
「プレミアム」は高級感
「フィッツプラス・プレミアム」もホワイトとブラックの2色展開です。2012年の春に東京・赤羽の天馬の本社にお邪魔した少し前に発売されましたが、その光沢感と高級感には驚かされたことをよく覚えています。
プレミアムは標準のフィッツプラスに近いサイズバリエーションで、価格はイージーに比べると高価です。
籐チェストっぽい「メッシュ」
プレミアム発売の翌2013年に発売された「フィッツプラス・メッシュ」にもホワイト色があります。ただ、こちらは引出前板が籐チェストっぽい加工が施されており、カジュアルというよりはベーシックなナチュラルテイストに仕上がっています。
価格はプレミアムほどではないものの、標準のフィッツプラスよりも高いです。サイズバリエーションはプレミアムに準じます。
というわけで、フィツプラス・イージーは従来のフィッツプラスよりもサイズバリエーションが限られているものの、価格がちょっと安いのが魅力となっています。天板耐荷重は数字の上で見ると半分ですけど、実際はそこまでの違いはないんじゃないかと思います。もちろん、それ以外の使い勝手は従来品と同じです。
一方で、イージーのカプチーノ色は白い壁紙の前に置くと割りと存在感が出ます。あまり存在感を出したくない場合は従来のフィッツプラスなどを選んだほうが良いでしょう。予算をケチったがためにインテリアが台無しになったら悲しいですからね。
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