これまで無印良品は私たちの「くらし」を支えるために価格の見直し、つまるところ値下げを適宜おこなってくれました。しかしながら、昨今の原料コスト上昇や円安により、粗利率はコロナ前(2019年2月期決算)の51.7%から、直近(2023年8月期第一四半期決算)では45.7%にまで低下しています。一方で、運搬配送費や人件費を含む販売管理費は上昇。そのため、同期間中の経常利益率は11.2%から4.0%にまで低下してしまいました(いずれも良品計画連結決算資料に基づく)。
このままでは無印良品が危ない。今度は私たちが「かいしゃ」を支えるために値上げを受け入れる番です。
昨年末に無印良品が価格改定をプレスリリースしたときは、このご時世ですから多少の値上げは致し方ないと思っていました。ところが、プレスリリースに掲載されていた”新価格”の一例を見て完全に油断していました。各種ユニットシェルフをはじめとする大型家具やポリプロピレン引出収納の値上げ率が私の想定をはるかに上回っていたのです!
※この記事は2023年1月30日時点の情報に基づいています
ステンレスユニットシェルフ
商品 | 値上げ率 |
---|---|
セット | 12~21% |
追加用帆立 | 13~36% |
追加棚 | 11~50% |
オプションパーツ | 0~34% |
まず、ハイエンドモデルのステンレスユニットシェルフから見て参りましょう。セット品の価格は概ね1~2割アップとなっており、まあこれくらいなら仕方ないかなと思える範囲です。
追加用帆立は13~36%の値上げ。興味深いのは、特大は値上げ率が小さく、反対にサイズが小さくなるほど値上げ率が大きいという点です。これは他の商品についても同様の傾向で、「小さくても運ぶコストはそんなに変わらんのじゃ」という無印良品のメッセージが込められていそうです。
追加棚も同じ傾向で、幅42cm用のライトグレーとダークグレーの棚板は50%の値上げです。ロットが少ない、もしくは在庫回転率が悪い商品は大きく値上げされている印象となっています。
オプションパーツで値上げされなかったのは「ユニットシェルフ用耐震金具」。これはもっとも新しくて最近のコスト事情が反映できているからでしょう。他は14%以上の値上げです。
スチールユニットシェルフ
商品 | 値上げ率 |
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セット | 39~67% |
追加用帆立 | 10~79% |
追加棚 | 20~42% |
オプションパーツ | 0~43% |
値上げがもっとも強烈だと感じたのがスチールユニットシェルフです。セット品は「ワイド大(86×41×175.5cm)」が39%アップの税込17,900円。「ミニ(58×41×46cm)」に至ってはナント67%アップの9,990円です。
追加用帆立も奥行41cm用のミニがもっとも値上げ率が大きくて79%アップ。追加棚もオプションパーツも値上げが2~3割だったらホッとするくらいの感じです。
パイン材ユニットシェルフ
商品 | 値上げ率 |
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セット | 29~46% |
追加用帆立 | 13~25% |
追加棚 | 11~25% |
ワードローブバー | 25~28% |
パイン材ユニットシェルフもサイズが小さいものほど値上げ率が大きい傾向です。また、奥行25cmタイプは販売数が少ないためか総じて値上げ率は高く、「小56cm幅」のセットで46%アップとなっています。
スタッキングシェルフ
商品 | 値上げ率 |
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セット | 13~25% |
追加セット | 16~20% |
パーツ | 13~17% |
スタッキングシェルフは天然木突板を使っていることから原料コストが増していると考えられますが、意外と2割前後しか値上がりしていません。なお、セットはウォールナットよりもオークのほうが若干値上げ率が高めですが、追加セットなどはそうでもなく、根拠がよく分かりません。
ポリプロピレン収納
商品 | 値上げ率 |
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衣装ケース(奥行65cm) | 47~67% |
クローゼットケース(奥行55cm) | 45~67% |
収納ケース横ワイド(幅55×奥行44.5cm) | 18~34% |
収納ケース引出式(幅34×奥行44.5cm) | 34~51% |
ポリプロピレン引出式衣装ケースは押入れ用、クローゼット用ともに最大67%の値上げとなっています。逆に言うと、下請けとして作っていたリスはこれまで相当買い叩かれていたのでしょうか。想像すると涙を禁じ得ません。
ポリプロピレンケース引出式
商品 | 値上げ率 |
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深型(奥行37cm) | 20~51% |
浅型(奥行37cm) | 17~45% |
薄型(奥行37cm) | 42~63% |
PPケース引出式横ワイド(奥行26cm) | 25~45% |
各種ユニットシェルフに合う奥行37cmのPP収納も最大63%の値上げです。こちらもサイズが小さい=価格が安いものほど値上げ幅が大きくなっています。
スタッキングシェルフに合う奥行26cmのPP収納も基本的には同様の扱いです。
ポリプロピレンストッカー
商品 | 値上げ率 |
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PPストッカー | 14~51% |
組立式ワゴン | 11% |
ポリプロピレンストッカーや組立式ワゴンも無慈悲に値上げされています。
PP頑丈収納ボックス
商品 | 値上げ率 |
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PP頑丈収納ボックス | 17~39% |
PP頑丈収納ボックスもやはりサイズが小さいものほど値上げ率が大きくなっています。これから無印良品で商品を買う場合は、大きいほうがコスパが良いということですね。
というわけで、値上げと言っても20~30%くらいだろうとタカをくくっていたのですが、実際には4~7割ほどのエグい値上げが多数という状況です。直近でも粗利率は45%もあるのに、いったいどれだけ粗利があれば満足するのでしょうか。
ともあれ、今まで消費者のくらしを支えてきてくれた無印良品です。今度は消費者がかいしゃを支える番です。ムジラーの皆様におかれましては頑張ってかいしゃを儲けさせていただければと思います。もちろん、私も遠くから生温かい目で見守っています。
なお、新カタログの発行は2023年3月中旬を予定しているそうです(※下記注)。まだ2月3日にもファイルボックスなど小物商品を中心に値上げがありますし、家具等の配送料も値上げされます。またエグい値上げをされる前に、買いたいものは早めに買っておいたほうが良さそうですねー。
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