ハンガーに掛けた洋服に被せる不織布製のカバーは、基本的にホコリ除けとしての効果しか期待できません。湿気をシャットアウトすることはできず、カビ防止にも役に立ちません。不織布は湿った空気も通してしまうからです。
しかし私は、洋服に被せる不織布製のカバーはホコリ除けとしての効果にすら疑問を感じています。今回はその理由についてお話ししたいと思います。
不織布製カバーを掛ければホコリ除けになる?
不織布製のカバーを洋服に掛ければ、洋服に直接ホコリが付くことを防ぐことができます。ですが、カバーを付けていなかったら洋服に付いたであろうホコリはどこに行ってしまったのでしょう?この場合、ホコリはカバーに付いていると考えられます。
そうすると、洋服を取り出すときにカバーをめくれば、カバーに付いたホコリが舞い上がります。大部分は時間差で床に落ちていき、洋服にホコリが掛かることはないとは思いますが、それって清潔と言えるのでしょうか?
不織布製カバーを掛けるくらいならマメに掃除と片づけを
そのため、私は基本的にクライアント宅で不織布製のカバーをオススメすることはありません。不織布製のカバーを付けるくらいなら、まず掃除がしやすい状況にすることをまずオススメします。また、ホコリが積もってしまうくらい長期間着ていない洋服があれば、手放すことを検討してもらいます。
どうしても手放せないものなら衣類用圧縮袋をオススメします。衣類用圧縮袋なら、防カビ、防虫効果も期待できるからです。掃除機で圧縮しなくても、除湿剤を入れればカビの心配はありませんし、掃除機を使わずに手で空気を押し出せば洋服をプレスしてしまうこともありません。
一面的な清潔感はかえって不潔を招きやすい
不織布製のカバーが厄介なのは、カバーを外した後の始末です。非常にマメな人が扱うなら問題ありません。日頃から徹底的に掃除をし、ホコリが舞い上がることもなく、カバーなんて必要ないくらいの状況で、外したカバーもキレイに畳んで収納していると思います。ところが片づかないお宅の場合は、外したカバーがクローゼットの隅に突っ込んであったり、床に放置されていたり、ハンガーに掛けたままだったりします。
不織布製のカバーは押入れ用のシートや食器棚用のシートに似ているように思います。押入れ用シートは主に防虫、食器棚用シートはキズ防止が目的ですが、これらがあると掃除がしにくくなり、ホコリの温床となりかねません。設置したときは清潔感があっても、知らない間に不潔になっていってしまうのです。
日頃から徹底的に掃除をし、カバーをきちんと管理している方ももちろんたくさんいらっしゃいます。そういう方にとってはそもそも不織布製のカバーなど要らないとは思うのですが、より清潔感を保つために使うことは決して悪いことではありません。
しかし、片づいておらず掃除がしにくい状況でホコリが気になる場合は、不織布製のカバーは「モラトリアム・グッズ」でしかないと思います。掃除が行き届いていないことに対する猶予期間を与えるだけのグッズということですね。書類を溜め込む「とりあえず箱」も同様で、長期間猶予してしまうとあとでリカバリーするのがどんどん難しくなっていきます。
不織布製のカバーは手頃な価格ですが、ホコリが付きやすい素材です。使い捨てにすれば問題ないかもしれませんが、それよりもまず小まめに掃除、その前に掃除がしやすいように片づけたいものですね。
コメント