クローゼットなどの造り付けの収納スペースとは別に洋服の収納スペースを確保しようと思ったとき、様々な収納グッズや家具が候補に挙がると思います。2~3着程度ならドアハンガーやウォールハンガーなどで良いと思いますが、ある程度まとまった量となれば相応のボリュームのハンガーラックが必要になります。
しかしながら、その選択肢はあまりにも膨大です。今回は最適なハンガーラックを選ぶお手伝いができればと願って、選び方とオススメの商品を紹介したいと思います。
※この記事は2024年7月1日時点の情報に基づいています
ハンガーラックの選び方
冒頭でも申し上げた通り、ハンガーラックには多種多様なものがあります。部屋に置いたときのイメージや使い勝手にも大きく影響するところなので、まずは主な形状を分類してみましょう。
形状
キャスター付き伸縮ラック
ハンガーラックと聞いてもっとも多くの方がイメージするのはこういう感じじゃないでしょうか。一般的にはキャスター付きシングルパイプハンガーラックなどと呼ばれるスタイルです。価格が1千円程度からと手頃で、組み立ても簡単。洋服の丈に合わせてハンガーパイプの位置を調節することができたり、キャスターで移動することが容易なのもメリットと言えます。
ちなみに、ハンガーパイプが2本になったダブルタイプもありますが、重量オーバーによってキャスターが破損することが多いうえ、かなり場所を取ってしまい洋服の出し入れがしにくくなるためオススメしません。パイプハンガーが2本欲しい場合はシングルタイプを2つ買うようにしましょう。
ベントタイプ
ここ数年、キャスター付きシングルパイプハンガーラックに匹敵する人気となっているのが上写真のようなベントタイプのハンガーラックです。1本のスチールパイプを曲げて作ったようなシンプルなデザインのものです。
キャスターが付いていないことが多いため移動はしにくいですが、オシャレに見えるのが最大のメリットと言えるでしょう。また、足元にカバンなどを置きやすいのもメリットです。価格が手頃であるほか、耐荷重がさほど大きくないため洋服を掛け過ぎないように意識できるというところもメリットと言えるかもしれません。
A型
スチール製よりも木製を好む方に支持されているのがA型ハンガーラックです。横から見たときにアルファベットの「A」の字に見えることからそのように呼ばれます。
A型ハンガーラックの多くは折り畳んで家具のすき間に収納したり、壁に立て掛けることができるという点も人気の理由となっています。ただし、木製の場合は重かったり壊れやすかったりするのも事実です。なお、木製だけでなくスチール製のものもあります。
屏風型
同様に折り畳みが可能なものに屏風型があります。こちらも木製のものとスチール製のものがあります。あまりたくさんの洋服を掛けるには適さないものの、それが逆に洋服を掛け過ぎないように意識できるというのがメリットと言えるでしょう。パーテーションの代わりとして、また室内物干しと兼用で使えるというメリットもあります。
立て掛け式
もっとシンプルな形状のものとして立て掛け式のハンガーラックがあります。壁に立て掛ける構造のため不安定で、幼児がいるお宅にはオススメできません。しかしながら、見た目にとてもシンプルですし、洋服を掛け過ぎずに済むというメリットもあると思います。
ポールハンガー
ちょっと掛ける程度ならポールハンガーのほうがメジャーと言えます。枝がいくつもあってもそれほど掛けられるわけではありません。基本的には来客用程度に考えたほうが良いと思います。
天井つっぱり式
天井つっぱり式のハンガーラックもメジャーなスタイルのひとつです。上写真の2本脚タイプのほか、1本脚タイプもあります。パーツが少なくローコストなので、ボリュームの割りに価格が手頃なうえ、見た目がシンプルなのもメリットと言えるでしょう。
ただし、天井に下地があるところやコンクリート製の梁に突っ張る必要があります。下地がシッカリしていないところに設置すると倒れてきてしまうので注意しましょう。
スチールラック系
スチールワイヤーシェルフなどのスチールラックのワードローブもメジャーな商品と言えます。耐荷重が大きい割りに価格が手頃なのが最大の魅力です。また、天板や棚板にもモノを置くことができますし、ワイヤーシェルフならホコリが積もる心配がないという点もメリットと言えるでしょう。
ドウシシャのルミナスラックなど大手メーカーのものであればオプションパーツで組み替えができるという点も大きなメリットだと思います。
簡易クローゼット
カタログ通販が絶好調だった時代には上写真のような組立式の簡易クローゼットがよく売れました。現在も洋服にホコリが掛かるのがイヤという方に支持されています。
もっとも、普通にホコリは侵入しますし、不織布のカーテンはホコリを寄せつけやすいので、実際にはホコリを防ぐには十分とは言えません。
木製ワードローブ
組立式の簡易クローゼットよりもホコリの侵入を防ぎやすいのは木製ワードローブです。まったくホコリが入らないわけではありませんが、それは造り付けのクローゼットでも同じこと。見た目が良く、簡易クローゼットのようにグラグラ揺れることもありません。
ただし、IKEAの「PAX(パックス)」など分解できないものは注意が必要です。引っ越しの際には必ずと言って良いほど引越業者から運搬を拒否されます。将来的に引越しをする可能性がある場合は、分解可能なものを選ぶようにしましょう。
回転ハンガー
回転ハンガーと聞いて上写真のような商品を思い浮かべることができる人は今となっては少ないと思います。通販生活やテレビ通販で爆売れしたホクトの回転ハンガーが有名です。
ホクトはアイランドに社名変更したのか事業譲渡したのか分かりませんが、現在は回転ハンガーを製造していません。上写真は川口工器のものです。
回転ハンガーは省スペースで洋服を選びやすいというのがセールスポイントでしたが、ホクトの回転ハンガーのようにスムーズに回転できるようにすると、恐ろしく重くなるうえに価格が10万円を超えるという難点がありました。また、製品自体は半畳に収まるサイズでも、洋服を掛けるととても半畳では収まりきらないため場所を取るというのがデメリットです。
サイズ
ハンガーラックは幅30cm程度のものから一間(180cm)を超えるものまで様々なサイズのものがあります。基本的には設置スペースや洋服の量に合わせて選ぶものだと思いますが、丈夫なスチールラック系や木製ワードローブを除いて、幅90cmを超えるものはあまりオススメできません。
その理由は主に2つあります。まず一つ目は、幅90cmを超えると多くの洋服を掛けがちで、耐荷重オーバーによりハンガーパイプがたわむなど損傷するリスクが高まるためです。もうひとつは、日本の住宅の多くは90cmグリッドで設計されており、それを超えるとレイアウトを変更できる余地が狭まるからです。
よって、たくさん洋服を掛けるスペースが必要な場合は、幅90cm以下のハンガーラックを2つ以上並べるのが好ましいと言えるでしょう。
耐荷重
ハンガーラックはその構造や材質により、数kgから100kgまでの耐荷重があります。しかしながら、多くは10kg程度で、重いコートを何着も掛けるとパイプがたわんだり接合部が壊れてしまうことがあります。
たくさん掛けたい場合はデザインよりも耐荷重に注意を払うようにしましょう。
ハンガーラックのオススメ10選
ニトリ/たて・よこ伸縮ハンガーラック
以前は1千円程度で購入できたキャスター付きシングルパイプハンガーも最近は2千円近くすることが増えました。それなら少しでも多機能なほうが良いでしょう。
ニトリの「たて・よこ伸縮ハンガーラック」は税込1,990円で高さを変えられるだけでなく、幅方向にパイプを伸ばすこともできます。耐荷重は10kgと大きくはありませんが、脱いだ洋服をチョイ掛けしたり、翌日のコーディネートをまとめてくのに便利です。
無印良品/スチールパイプハンガーラック
無印良品の「スチールパイプハンガーラック」は足元の棚板がスノコ状になっており、バッグやPP収納引出式などを置くのに便利です。また、支柱の中央にサイドアームが設けられており、バッグなどを掛けることができます。
高さを変えることはできない代わりに見た目はシンプル。ハンガーパイプが洋服の重みで落ちる心配もありません。
ドウシシャ/ハンガープロ
キャスター付きのシングルパイプハンガーラックの耐荷重は概ね10kgです。一方で、ドウシシャの「ハンガープロ」は耐荷重が75kgもあります。それでいて税込5,480円ですからお手頃です。
ハンガープロもハンガーパイプがガシャンと落ちない構造で、ネジ穴で固定するようになっています。また、チョイ掛けに便利な斜めフックが付いています。ブラック色やクロム色、サイズ違いなどラインナップも豊富です。
無印良品/パイン材ユニットシェルフ
木製のナチュラルな感じがお好みの場合は無印良品の「パイン材ユニットシェルフ ワードローブ」がオススメです。以前はハンガーパイプも木製で折れることがありましたが、仕様変更によりスチール製に切り替わったことでその心配は少なくなったと思います。
パイン材ユニットシェルフなら棚板を追加するなどして組み替えることも可能です。同様のパイン材ラックは無塗装のものが多く、ホコリがつきやすいですが、これならUVウレタン塗装でキズや汚れの心配も少ないです。
ドウシシャ/ルミナスレギュラー
ドウシシャ「ルミナスレギュラー」の耐荷重はパイプハンガーこそ20kgですが、ラック全体では最大500kgもあり、天板や棚板に重いモノを乗せてもまったく問題ありません。また、豊富なオプションパーツを活用して自由に組み替えることができます。
上写真のようにキャスター付きで使っても便利ですが、コの字バーを組み合わせて床に直接キャスター付きのチェストを置くのもオススメです。
ドウシシャ/エリソンラック
クロムメッキがお好みでない場合はホワイトなどニュアンスカラーが選べる「エリソンラック」がオススメです。ルミナスラックほどではないものの、サイズバリエーションやオプションパーツも豊富です。ブラック系がお好みの場合は「ルミナスノワール」が良いでしょう。
ただし、いずれもルミナスレギュラーなどと比べると奥行は浅めで約41cmです。肩幅のある紳士服を掛ける場合は手前に少しハミ出します。
ニトリ/Nポルダ
ニトリの「ワイヤーワードローブNポルダ」は無印良品のスチールユニットシェルフのようなラックです。しかし、標準で天井つっぱりパーツが付いており、価格も手頃です。また、棚板はネジで固定するのではなく乗せるだけなので、棚板の高さ調節が容易です。ホワイト系のほか、ブラック系もあります。
こちらは奥行が30cm強しかないので、もっとハミ出します。
アイリスオーヤマ/スタイルウォールワードローブ
アイリスオーヤマの「スタイルウォールワードローブ」は支柱が棚柱になっており、ハンガーパイプや棚板は正面から挿し込むだけで高さ調節が可能です。フレームが手前側にないため圧迫感がないのもメリットと言えるでしょう。ただし、個人的には「スーパータックフィット パイプ家具用」で壁に固定したほうが安全だと思います。
なお、奥行は35cmとなっています。
ナサ流通企画/PROP(プロップ)
ナサ流通企画の「PROP(プロップ)」シリーズはカタログ通販各社でお馴染みの商品です。背面が化粧されているのでパーテーションとして使うことができるほか、部屋の一角をウォークインクローゼットのように仕切ることも可能です。
背面ミラータイプが用意されているほか、関連商品として突っ張り間仕切りパーテーションタイプやキャスター付きで移動が可能なタイプもあります。
ベルメゾン/クローゼットハンガーラック
組立式の簡易クローゼットタイプならベルメゾンの「クローゼットハンガーラック(ロールスクリーンタイプ)」がオススメです。一般的なカーテンタイプと異なり、洋服を出し入れする際にカーテンが引っ掛かることがありません。普段は開けっぱなしで、来客時などは閉めておくという使い方も可能です。
奥行は55cmで十分ですが、圧迫感はあります。
というわけで、ハンガーラックの選び方とオススメの10アイテムを紹介しました。基本的にはやはり使い方やインテリアのイメージに合ったものを選んでもらうのが良いと思いますが、サイズや耐荷重も大事な要素と言えるでしょう。
時間の経過とともに部屋の状況やニーズは変わっていきます。引越しをすることもあるかもしれません。そういう面では使い捨てにしても惜しくない価格が手頃なものや、ルミナスラックのように組み替え可能なものを選ぶのも方法だと思います。
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