このところ家具店をあちこち歩いて回っておりますが、残念ながらじっくりと見る余裕がありません。それでもビビビと来た家具にはふらふらっと吸い付けられていっては隅々まで観察したりします。
その日訪れたKEYUCA(ケユカ)では、壁面収納家具に吸い寄せられてしまいました。
※この記事は2016年1月8日時点の情報に基づいています(2023年8月14日一部更新)
KEYUCA・壁面収納家具「コルティナ3」
いくつか並んでいる壁面収納家具の中でも「CORTINA III(コルティナ3)」に私が吸い寄せられていったのは些細な理由です。「右端のワードローブの扉の持ち手の部分、どうなってんの?」と思ったからです。
結論から言うとこの持ち手の部分は「切り抜き取っ手」と言われる形状で、指を上下左右どちらから差し入れても扉を開閉できるような持ち手の形状になっているのです。コルティナ3の場合は突板のフラッシュ合板のため、扉をくり抜き、内側から板でふさいでいます。
見た目の良さしか考えていない壁面収納が多い現実
家具店で壁面収納家具を触っていて、どうやって扉を開けたら良いのか戸惑った経験はないですか?右開きかと思ったら左開きだったり、引いても開かないと思ったらプッシュ式だったり。
扉の持ち手を隠せば見た目は良くなるのですが、どうしても扉の開け方が分かりにくかったり、開けにくかったりするという現実があります。逆に持ち手を大きくすれば、野暮ったく見えたり、ラインが強調されてしまうこともあります。残念ながら壁面収納家具はどちらのパターンも多いのです。
KEYUCAのコルティナ3の場合、切り抜き取っ手を採用しているのはハイユニットキャビネットのみで、あとはやはりどこからどう開けて良いのか分かりにくい扉です。でも、一番大きくて開けにくい扉だけでも使う人のことをちゃんと考える姿勢には感心しました。
ハイグレード壁面収納家具と呼ぶにふさわしい仕様
KEYUCAのコルティナ3が素晴らしいのは切り抜き取っ手だけではありません。私が見たところ、コルティナ3は市販されている壁面収納家具の中ではハイグレードと呼ぶにふさわしい仕様となっています。
たとえば引出し。引出内部材が樹脂フィルム貼りの三方囲い構造となっていることがほとんどの壁面収納家具において、コルティナ3はファルカタ(洋桐)の四方囲い構造で、仕切り板まで付いています。
また、扉のヒンジ金具はオーストリアのblum社製。非常に信頼性が高い金具メーカーのものです。表面材の樹種については明記されていませんが、オークの突板であろうと思われます。
ただ仕様がハイグレードになればお値段が気になるところ。そこで同じくハイグレードな壁面収納家具として定番のすえ木工の「マテリア2」と比較してみたところ、ざっと1割ほど高い価格であることが分かりました。
すえ木工のマテリア2も表面材は突板ですが、引出内部材は樹脂フィルム貼りです。もちろん仕様やサイズ、ラインナップが違いますから、単純比較できるものではありませんが、私はマテリア2よりもコルティナ3のほうが素晴らしいと思います。
コルティナ3について敢えて難点を言うならば、棚板の可動ピッチが6cm程度である点。これはさすがにちょっと広い。収納物に対してたった1cm足りないだけで棚板を1段上げて5cmのスペースを無駄にしなければいけないのですから、収納効率は悪いと言わざるを得ません。壁面収納家具ではこのパターンも多いですね。
しかしその点を除いては、コルティナ3は非常に素晴らしい出来栄えだと思います。さすがはKEYUCAですね~。
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