タナリオなどでお馴染みの組立家具メーカー最大手「白井産業」が民事再生法申請

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いやはや、これは驚きました!組立家具メーカー国内最大手の「白井産業」が2017年11月6日に民事再生法の適用を申請したそうです。

白井産業と言えば、1cm単位でサイズオーダーできる組立式書棚「タナリオ」や組立式チェスト「チェスカ」でお馴染みのメーカーです。家具販売店やホームセンターの多くに組立式家具を納入しており、最近も立て続けに新商品を発表していましたから、さぞ業績が好調なものとばかり思っていました。

それがまさか、こんなことになろうとは…。

※この記事は2017年11月12日時点の情報に基づいています(2023年8月5日一部更新)

 

白井産業とは

本社静岡県島田市御請45-1
設立昭和38年(1963年)
売上高43.6億円(平成29年1月期)
社員数118名(平成29年2月1日現在)

白井産業はもともとコカコーラなどの木製通函の製造からスタートし、途中、キッチン流し台の製造を手掛けつつ、カラーボックスの製造で大きく飛躍した会社です。最盛期には100億円を超える売上高を誇るも、直近ではその半分以下の43.6億円に留まっていました。

それでも、本業自体は黒字だったようです。今回、民事再生法の適用を申請するに至ったのは、”過去の設備投資等による過大な金融債務を抱え、その利払いが資金繰りを圧迫し、抜本的な改善策を打てなかった”ことが原因のようです(引用:東京商工リサーチ)。なお、負債は年商を上回る約50億円とのこと。

世間では年商43.6億円と言ったら中小企業という印象でしょうけど、家具業界で言えば十分な規模です。メジャーなところで言うと、キツツキマークでお馴染みの飛騨産業(年商50億円)よりも若干小さいくらい。同じくサイズオーダー対応の組立式書棚でライバルと言える「エースラック」の大洋(年商10億円)の4倍以上もあるわけですからね。そんなわけで、今回の白井産業の民事再生法適用は家具業界にとって強烈なインパクトがあるわけです。

ちなみに、「民事再生法適用=倒産」と誤解される方もいらっしゃるかもしれませんが、もちろん倒産するわけではありません(※下記追記)。今回は既にスポンサー企業が内定していることから、今後、リストラを進めながら経営再建を目指していくものと思われます。

2017/11/16追記:法学を修めたと者の説明とは思えないミスがありました。民事再生法を適用することはすなわち倒産の一種です。ただし、この場合の「倒産」とは、一般的に思われるように会社がなくなってしまうというわけではありません。
倒産には、会社が消滅する「破産」、会社が存続する「民事再生」と「会社更生」の、3つのパターンがあります。民事再生の場合は基本的に経営陣がそのまま残って会社を再建する、会社更生の場合は経営陣が刷新されて会社を再建する方法と大まかに言えます。

85%がベトナム子会社での生産だった!

今回の白井産業が民事再生に至った報道で私が驚いたのは、”現在は製品の15%が本社工場での生産、85%がベトナム子会社での生産体制だった”(引用:東京商工リサーチ)という部分です。

てっきり、私は白井産業が今も本社工場を中心に組立家具の製造をおこなっているものだと思い込んでいました。サイズオーダー家具なんて、国内生産でないと対応しきれないはずだと考えていたためです。

でも、85%がベトナム子会社での生産だったと聞いて納得。なるほど、だから国内メーカーではあり得ないはずのホルムアルデヒド等級F☆☆の組立家具を作っていたんですね!

ちなみに、上写真のタナリオについては、ベトナムとマレーシアで作っているそうです(2017年当時)。

 

せっかく本業が黒字だったにもかかわらず、過去の負債が原因で今回の措置となったことは非常に残念です。しかし一方で、消費者の健康を損うことで黒字を確保しようとする体質が根底にあったから、このようなことになってしまったようにも思います。

真面目にやっていてもツライ今の家具業界ではありますが、やっぱり誠実にやっていくことが一番大切なのだと改めて思わされる今回の一件でした。

2017/11/16追記:

業界紙の「ホームリビング」の報道によると、2005年に112億円あった売上が2017年には43.6億円にまで下がり、たった12年で6割以上も業績が悪化していたようです。また、”過去の設備投資等による過大な金融債務”はそれほど古いものではなく、複数の販売拠点の展開や2006年のベトナム工場建設が重荷となった模様です。

2006年にはイケアが日本再上陸を果たし、現在の日本での売上は767億円。また、ニトリは2005年に売上が1,500億円ほどだったのが2017年には5,000億円以上に成長しています。

これらの事実を見る限り、傍目には白井産業が組立家具製造に全力でアクセルを踏んだところに、イケアの再上陸やニトリの大躍進という逆風が吹いたように見えます。しかし一方で、白井産業が得意先とするホームセンターの店舗数自体は増えており、一概にはイケアとニトリが白井産業のシェアを奪ったとは言えないと思います(むしろ組立家具の市場自体は広がっている)。

2023/08/05追記:

白井産業の直近の年商はグループ全体で40億円とのことです(2021年12月期)。2017年12月に新体制になってからも何とか売上を維持しているようですね。

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コメント

  1. あき より:

    民事再生法適用は、清算や廃業ではありませんが、倒産(=債務支払の停止≒債務支払不能)の一種ですよ。
    民事再生の場合は原則として、(会社更生と異なり)経営陣の交代は不要なので社風が大幅には変わらないことが多いですね。
    本業自体が黒字だと、経営方針は変えずに、債務返済を繰り延べのため返済計画の立て直しを債権者と相談するのではないかと思います。

    • 収納マン より:

      あきさま

      ご指摘ありがとうございます!

      民事再生法適用は倒産の一種…確かにご指摘の通りでございます。

      確か大学でも習ったはずなのですが…お馬鹿でスイマセン^^;