もはや庶民の暮らしにはなくてはならない存在の100円ショップ。収納用品としてはプラスチック製の箱やフックなどがメインですが、接着剤や両面テープなど、様々な商品がワンストップで手軽な価格で買えるという便利さがあります。
その100円ショップも一昔前は中小入り乱れての戦国時代の様相でしたが、近年はM&Aを含む優勝劣敗が明確になり、寡占化が進みました。また、成長を続けてきた100均市場も原料費や人件費の高騰を受けて踊り場に差し掛かっていると言われています。
では実際のところ、最近の100均市場はどうなっているのでしょうか。100円ショップ各系列の店舗数と売上についてランキング形式でまとめてみました(以下、順位は店舗数に基づいています)。
※2024年8月31日確認時点の情報に更新済み
第1位 ダイソー
※2024年2月末現在(店舗数はダイソーのほかTHREEPPYなど含む) ※売上は海外含む2024年2月期決算に基づく
100円ショップの巨人、大創産業(本社:広島県東広島市)が運営するダイソーは、北海道から沖縄県まで国内最大の4,042店を有します。それだけでなく、既に26の国と地域に2,296店を展開しており、「世界のダイソー」と言っても過言ではないでしょう。
全店での1日あたり来店客数は312万人、取扱いアイテム数は7.6万点、新商品は毎月1,200アイテム、業界売上シェアは62%を誇るそうです。桁違いの規模ですね!(出典:大創産業)
第2位 セリア
※2024年3月期決算に基づく
業界2位の規模を誇るセリア(本社:岐阜県大垣市)は北海道から沖縄県まで2,023店を展開しています。ダイソーに比べると店舗数は半分程度ですが、ダイソーの店舗の1/4近くが代理店(フランチャイズ)なのに対し、セリアは約98%が直営店です。
セリアは規模としては二番手と言えるものの、実用的なアイテム数で圧倒するダイソーに対して、シンプルなカラーやデザインの商品を多数導入した、100均業界のファッションリーダー的存在と言えるでしょう。
第3位 ワッツ(ミーツ、シルク含む)
店舗数 | 1,769店(出典:ワッツ) |
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売上高 | 593億円(出典:同上) |
※2023年8月期決算に基づく ※店舗数は国内全ブランド、売上高は海外含む全社
ワッツが店舗数で業界3位というのはちょっと語弊があるかもしれません。会社としてのワッツ(本社:大阪市中央区)は「meets(ミーツ)」、「Watts with(ワッツウィズ)」、「Watts (ワッツ)」、「silk(シルク)」を展開するほか、2021年10月には音通エフ・リテールから「FLET’S(フレッツ)」、「百圓領事館」などを譲受して、現在は全部で1,769店を展開しています。
ちなみに、セリアが2,023店を展開して売上高が2,232億円に達するのに対し、ワッツ全体では1,769店を展開しながら売上高はセリアの1/4程度の593億円しかありません。店舗数がワッツよりも少ないキャンドゥと比較しても売上高は7割程度です。これは直営店のワッツよりも販売委託店のワッツウィズが多くを占めるため(=手数料収入)と考えられます。
第4位 キャン★ドゥ
※店舗数は2024年7月末現在 ※売上高は2024年2月期決算に基づく
キャンドゥ(本社:東京都新宿区)は会社全体としては業界4位の店舗数となってしまいましたが、単一ブランドとしては堂々の3位で、売上も3位です。こちらも北海道から沖縄県まで1,324店を展開しています。ちなみに、関西を中心に展開していた同業の「クリスタルショップ」と「オレンジ」はキャンドゥに吸収されています。
ダイソーやセリアと比較すると、商品が画一化されていないのが魅力のひとつだと思います。一方で、2022年1月からイオンの子会社になった相乗効果はまだ実感できるところが少ないです。今後に期待しましょう。
第5位 ローソンストア100
※店舗数は2024年5月末時点 ※売上高は2024年2月期決算に基づく
ローソンストア100(本社:神奈川県川崎市)はSHOP99を運営していた九九プラスがルーツで、コンビニ大手のローソン傘下となって現在に至ります。意外と店舗数は645店もあるのですねー。ただし、漸減中。
取扱商品は主に食品。100均ではない商品もあり、100円ショップというよりは基本的に生鮮コンビニというニュアンスが強いでしょうか。
第6位 ファインズ、キャンディなど
店舗数 | 78店(出典:ワールド企画) |
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売上高 | 不明 |
※店舗数は2024年8月確認時点
集計するにあたってワッツ以上に悩ましかったのがワールド企画(本社:岩手県北上市)が運営する100円ショップです。直営100円ショップの「Fine’s(ファインズ)」4店、同じく「Candy(キャンディ)」2店に加え、300円均一商品も扱う「Vita(ウィータ)」2店、たぶんウィータのフランチャイズの「Vita(ウィータ)コレクション」1店。さらに、スーパーの片隅で展開する売場維持管理システム「LSC100SHOP」42店、売場リユースシステム「Can-can100SHOP」8店、その他19店と、様々な形態で100円ショップを展開しています。
いずれも東北が中心で、関東にも進出しています。
第7位 100えんハウスレモン
店舗数 | 68店(出典:レモン) |
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売上高 | 不明 |
※2024年8月確認時点
ワタナベ(本社:静岡市葵区)が運営する「100えんハウスレモン」は、静岡県を中心に、北は山形県、南は愛知県まで全68店。店舗数は若干少なくなってきています。
第8位 ダイコク税込100円均一SHOP
※店舗数は2024年8月確認時点、売上高はグループ全体(2023年8月期決算に基づく)
ダイコク(本社:大阪市中央区)の「税込100円均一ショップ」はダイコクドラッグ内の100円均一コーナーと言ったほうが正しいのかなと思いますが、線引きが難しいうえにそれなりの店舗数があるので一応ランキング対象としました。
てっきり大阪だけだと思ってたんですけど、北は札幌、南は沖縄まで、43店もあるんですね!
第9位 100円ショップTOKUTOKUYA
店舗数 | 14店(出典:イーシーアイ) |
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売上高 | 不明 |
※店舗数は2024年8月確認時点(海外除く)
「TOKUTOKUYA(得得屋)」はイーシーアイ(本社:島根県出雲市)が運営する100円ショップ。中国地方中心ですが、北は兵庫、南は長崎まであり、全部で14店。それとは別に海外にも展開しています。
第10位 The 100 stores
店舗数 | 5店(出典:イニシャル・ワンハンドレッド) |
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売上高 | 不明 |
※店舗数は2024年8月確認時点
「The 100 stores」はイニシャル・ワンハンドレッド(本社:東京都北区)が運営する100円ショップ。東京都内限定で5店を展開しています。
まとめ
ショップのブランド別ではなく運営会社別のランキングとなってしまいましたが、最後に各系列の店舗数を視覚的に捉えるためにグラフ化してみました。
こうやってみると、ダイソーが圧倒的ですねー。さすが売上シェアの6割以上を誇るだけのことはあります。それに続くのはセリア、ワッツ、キャンドゥ。この3社は話題にも事欠きません。イオン傘下となったキャンドゥが今後どのような展開を見せるかも注目でしょう。
なお、100円ショップではありませんが、パル(本社:大阪市中央区)が運営する「スリーコインズ」は331店、2024年2月期の売上高は630億円となっています(出典:パルグループホールディングス)。店舗数は5位のローソンストア100の半分程度ながら、売上で言うとキャンドゥに迫る規模です。
また、パレモ・ホールディングス(本社:名古屋市中村区)が運営する「イルーシー300」は152店、2024年2月期の売上高は81億円となっています(出典:パレモ・ホールディングス)。店舗数はスリーコインズのおよそ半分、売上は約13%程度ですね。スリコの強さが際立ちます。
ちなみに、調査の過程で楽天市場に出店している「100円ショップ ひゃくえもん」の運営会社(河内物産)が私のオフィスの裏手にあることを初めて知りました(笑)世間って、案外狭いもんですねー。
コメント
上位三社の店舗数と売り上げのソースを教えてほしいです。
主にIR資料などです。