最近は洗濯乾燥機が進化したこともあり、部屋干しをしないというお宅も増えています。しかしながら、いくら進化したと言っても、ちゃんと干したいと言う人もいます。また、昨今の電気代の高騰を踏まえると、節約のために乾燥機の使用は控えたいところでしょう。
夫婦共働きが当たり前になった今、これから家を買うなら当然と言って良いほど、室内干しについて考えられていることが多いと思います。一方で、現在も室内干しを前提としていない間取りの家は多いです。今までは何となくやり過ごしてきたものの、見た目や動線のことを考えると、ちゃんと見直したい…と思ってらっしゃる方は少なくないはずです。
仕事から帰ってリビングに洗濯物が干してあったら、疲れが取れるどころか逆にゲンナリしかねません。かと言って、誰も普段足を運ばないような部屋にひっそりと部屋干しするというのも、家事が苦痛なものになってしまいそうです。
ですからやはり、室内干しのためのスペースはしっかりと確保しておく必要があります。とは言え、どういうかたちが一番良いのか分からないという方もいらっしゃることでしょう。今回は様々な室内干しのスタイルを分類し、それぞれのメリットとデメリットについてまとめてみたいと思います。
※この記事は2024年7月4日にリライトしたものです
ガッチリ常設
室内干しのスタイルは大きく2つに分類できます。室内物干しを常設(固定)するか、容易に移動可能なものを設置するかの2つです。まずは常設のメリットとデメリットを見てみましょう。
常設式のメリットとデメリット
メリット
- 見た目の収まりが良い
- 床を占領しない
- 動線を確立しやすい
様々な室内物干しがあるので一概に言えないところがあるものの、一般的に室内物干しを天井や壁に取り付けると、見た目の収まりは良いと言えます。また、床に直接置かないことで、部屋を広く見せることができます。
常設、すなわち位置が決まっていることで、動線を確立しやすいのもメリットです。ただし、変な場所に設置してしまうと非合理的な動線を描きかねないので、その点は注意が必要です。
ちなみに、浴室乾燥機も常設に分類可能と言えます。基本的には上記のメリットが当てはまる一方で、デメリットとしては入浴時に干せないという点が挙げられます。
デメリット
- 工事が必要になることも
- 適切な場所が見つけられないことも
- 手が届きにくい高さになることも
常設に分類できる室内物干しには突っ張り式もありますが、ネジなどで壁に穴をあける工事を伴うものもあります。賃貸住宅では使えないものもありますし、分譲住宅でもプロに任せないといけない電動タイプや埋め込みタイプもあります。
そういった点や、日当たり、風通し、動線などを考慮すると、常設に適した場所を見つけられないこともあるかもしれません。さらに、特に天井から吊るすタイプの場合は手が届きにくい高さになることもあります。
常設型の室内物干しの一例
ナガエ・S.O.U(ソウ)&fuu(フー)
もっともメジャーな常設の室内物干しのひとつは天井つっぱり式です。2024年6月に発売されたナガエの「室内用天井突っ張り棒 S.O.U(ソウ)&室内物干し金物 fuu(フー)セット」はアルミ押出形材を支柱に採用しており、スチールパイプを使った他社従来品に比べてスタイリッシュな印象です。上写真のように窓を囲むように設置すれば、カーテンの開閉にも支障が出ません。
森田アルミ工業・FRAMES(フレームス)
森田アルミ工業の「FRAMES(フレームス)」は窓枠の内側に突っ張るタイプです。こちらはアルミの角型パイプを採用しているので窓枠に違和感なく収まります。竿受けを畳めばカーテンで覆うこともできます。また、伸縮式の竿を外し、縮めて左右のフレームに固定することも可能です。
ナガエ・tao(タオ)
ナガエの「tao(タオ)」は窓側の内側にネジで取り付ける竿受けです。この手の商品としては川口技研の「ホスクリーンMD型」がメジャーですが、こちらのほうがシンプルでスタイリッシュな印象です。前述のフレームスと比べてもスッキリと収まるうえ、コストも安上がりなので、分譲住宅にお住まいの方にオススメできると思います。
壁面取り付け
窓枠ではなく壁面に取り付ける竿受けというのもあります。様々なメーカーから発売されていますが、サヌキの「Coconi DRYit(ドライ・イット)」なら石膏ボード壁にピンで取り付けることができるので賃貸住宅でも問題ないかもしれません。使わないときは竿を外して竿受けを畳むこともできます。
森田アルミ工業・pid 4M(ピッドヨンエム)
森田アルミ工業の「pid 4M(ピッドヨンエム)」は壁から壁へ物干しワイヤーを張ることができます。その名の通り4メートルまでワイヤーを伸ばすことができるので、6畳間の長辺側に渡すことも可能です。ただし、ワイヤーですからたわみます。壁に穴をあけても最大耐荷重は10kgしかありません。
森田アルミ工業・kururi(クルリ)
森田アルミ工業の「kururi(クルリ)」も壁から壁…と言っても、向かい合う壁同士ではなく、斜めに竿を渡すことができます。こちらは最長186cm、追加竿を使えばさらに259cmまで竿を渡すことが可能です。しかも、 石こうボード壁にピンで固定するため、賃貸住宅や壁にネジ穴を開けたくないお宅でも気軽に使うことができます。
森田アルミ工業・kacu(カク)
続きましても森田アルミ工業で「kacu(カク)」。天井から吊り下げるタイプの室内物干しと言えば川口技研の「ホスクリーンSPC型」がメジャーですけど、カクは一筆書きのようなシンプルなデザインが魅力です。上写真のコの字型のほかEの字型もあります。また、天井と壁を繋ぐようにL字型に設置することも可能です。ただし工事が必要です。
ラクラク移動
常設タイプは工事が必要だったり、取り付け方が難しかったり、その割りには耐荷重がそれほど大きくないものもあります。その点、移動が可能なタイプは気軽に使えるものが多いと思います。
移動式のメリットとデメリット
メリット
- 工事が不要で手軽
- 日当たりに応じて移動が可能
- 手が届きやすい高さ
移動が可能なタイプは何と言っても、工事などあまり難しいことを考えずに導入できることでしょう。設置の手間がなく、失敗するリスクも少ないと思います。
動線をいろいろ試してみて置き場所を変えたり、日当たりや風通しの良い場所に合わせて移動させることもできます。また、比較的低くて、手が届きやすい高さのものが多いです。
デメリット
- 見た目を損ないがち
- 床を占領する
- 移動可能なのに常設化しがち
近年はスタイリッシュな室内物干しが増えているものの、天井や壁に取り付けできるものに比べると見た目を損なうかもしれません。また、床を占領するため圧迫感も強くなります。
それよりも問題となりがちなのが、楽に移動できるのに結局のところ置きっぱなしになりがちなことです。もともと洗濯物を干していたはずが、気が付けば普通に洋服掛けとして使っているというお宅も珍しくありません。
移動型の室内物干しの一例
カインズ・パタラン
カインズの「パタラン」は幅最大147cmと大型ながら、畳めば14cmの薄さになり、しかもキャスター付きで楽に移動が可能です。ワンピースを干すことができる高さがあるだけでなく、タオルを干したり、枕を干すにも最適な構造です。こういう使い勝手の良さが移動式の室内物干しの魅力ですよね。
天馬・ポーリッシュH型 PS-02
パタランではさすがに大きすぎるという場合は、天馬の「ポーリッシュH型 PS-02」などが無難でしょうか。こちらはいわゆるキャスター付きシングルパイプハンガーラックを拡張したような感じです。折り畳むことはできませんが、むしろ畳む必要がないことで気軽に使えると思います。
アイリスオーヤマ・H-70XN
折り畳み式で人気が高いのは上写真のようなX字型。アイリスオーヤマの「H-70XN」は伸縮竿が付いていませんが、だからこそ手間なく畳むことができます。一方で、タオル掛けが付いているので、使い勝手は悪くないと思います。布団を干すにも便利です。
天馬・ポーリッシュ パネルS PSI-02
天馬の「ポーリッシュ パネルS PSI-02」のような屏風型の室内物干しも折り畳むのが楽です。おまけに、見た目もスタイリッシュな印象で、部屋にそのまま置いていても違和感が少ないと思います。ただし、前述のX字型に比べると不安定さは否めません。
オーエ・クロスフック ポール付
オーエの「クロスフック ポール付」は引違い戸の垂れ壁などに取り付ける室内物干しです。取り付けられる場所は概ね限られると思いますが、手軽に設置できて場所の変更も可能でしょう。ドアハンガーなども含めると、同様の選択肢はたくさんあると思います。
以上、室内物干しを常設型と移動型に分けたうえで、それぞれのメリットとデメリット、代表的な商品を紹介しました。
つまるところ、どちらが良いと一概に言えるわけではありません。家の間取りやそれぞれの部屋の使い方によっても変わることがあるでしょう。また、何をリスクと考えるか、何がニーズに適うか、といったところも重要なポイントだと思います。
ただ、室内干しをする際にできるだけ見た目を損なわず、場所が決まっていると、ストレスが減るのは間違いありません。洗濯機からの距離、日当たり、取り入れた洗濯物をどこで畳み、収納するかという動線も含めて、最適な方法を模索していただければと思います。
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