最初の日本上陸から12年で撤退したIKEA(イケア)が、再上陸でIKEA船橋(現在のIKEA Tokyo-Bay)を2006年にオープンしてから今年で10周年を迎えました。店内にも「十」の文字と馬の図柄をあしらったPOPが掲げられ、随所でこの10年間の歩みを紹介しています。
たとえばIKEAの本棚「BILLY(ビリー)」はこの10年間で25万台以上を売り上げたそうです。これが日本だけの話か、全世界での話なのかちょっと分からなかったんですが、その横にヒントがありました。同じくIKEAの定番商品である「MALM(マルム)」チェストはこの10年間で日本で販売したものを積み上げると富士山52個分となるそうです。
富士山の高さは周知の通り3,776m。マルムチェストをフラットパックのままではなくおそらく組み立てた状態で積み上げた場合の話だと思うので、マルムチェストの高さを1台あたりザッと1mとすると、3776×52=196352になります。つまり、20万台弱というわけです。
かたや「25万個以上」、かたや「富士山52個分」などと、分かりにくい表記をした理由は謎ですが、マルムチェストが日本で20万個近く売れたのであれば、よりメジャーなビリーは全世界ではなく日本だけで25万台以上売れたと理解するのが妥当でしょう。いやはや、あんなものがそんなに売れているなんて驚きです。
※この記事は2016年5月23日時点の情報に基づいています(2023年5月28日一部更新)
シリーズ累計200万台以上の国産本棚エースラック
ひとつのチェーンストアだけで25万台以上も売れたIKEAのビリーは本当にスゴイと思います。しかし、上には上がいるもので、大洋の「エースラック」はシリーズ累計200万台以上売れています(2012年時点)。エースラックの販売開始は1979年ですから33年で200万台として、10年間では60万台以上売れたという計算になります。この数字を見れば、競合商品だった白井産業の「スロフィー」が「タナリオ」にモデルチェンジをせざるを得なかったのも納得です。
エースラックがビリーの2倍以上売れた理由
基本的にIKEAのビリーを買うような人が、冷静にエースラックと比較しているとは思えません。つまりビリーのほうが良いと思って買っているというわけではないのです。ビリーを買う人は基本的にIKEAが好きだったり、IKEAの家具は安いと思っているだけでしょう。ビリーとエースラックはともに組立式の本棚ですが、まったく客筋が違うわけです。
では、なぜエースラックがビリーの2倍以上売れたかと言うと、やはり一番大きいのは取扱店舗数の違いでしょう。IKEAの日本での店舗数は現在9店舗。対してエースラックは全国の多くの家具店やホームセンターなどで扱われています。
エースラックがビリーの2倍以上売れた理由が取扱店舗数の違いとは身も蓋もない感じがしますが、これが現実です。日本コカ・コーラが自販機を日本全国に設置して飲料トップシェアに上りつめたようなものです。
しかし、家具店やホームセンターには競合商品がたくさんあります。スロフィーなどの競合他社商品を蹴散らして多くの店舗でエースラックが販売されているのは、一重にエースラックが「売れる商品」だからと言うことができます。多くの消費者に支持されたからこそ多くの店舗で扱われ、累計200万台以上という数字を達成しているわけです。
ビリーと比較するとエースラックの価格は2倍以上します(同程度のサイズで比較した場合)。しかしエースラックは国産で低ホルムアルデヒドF★★★★(最高ランク)、フルオープン構造で空間を無駄なく使える使い勝手の良さがあります。サイズバリエーションが豊富でサイズオーダーも可能。予算ありきであればビリーを選ぶ余地はあるかもしれませんが、冷静に考えれば家具としてのコストパフォーマンスはエースラックのほうが高いです。
ひとつのチェーンストアで25万台以上売り上げたビリーもスゴイですが、日本にはエースラックという素晴らしい本棚がある。私が言いたいのはただそれだけです。
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