カインズ「キャリコ」を発端にしたスタッキングボックスのブームも一段落し、一旦は天馬の「カバコ」が大きくシェアを伸ばしました。しかし、最近はカバコのようなスライドイン式の扉を採用したカバコもどきが各社から発売され、カバコ一強の状況が崩壊しつつあります。
さらに追い打ちをかけるように、なるほどジェネリックなアイリスオーヤマがスライドイン式の扉を採用した「オープンスライドボックスMOB-500」を発売しましたよ。
※この記事は2019年8月25日時点の情報に基づいています
アイリスオーヤマ・オープンスライドボックス
![アイリスオーヤマ・オープンスライドボックスMOB-500](https://new.shuno-oshieru.com/wp-content/uploads/2019/08/K280990-ID123662-300x300.jpg)
出典:アイリスプラザ(以下同)
アイリスオーヤマの新商品「オープンスライドボックスMOB-500」は前面扉が天板下にスライドインするカバコのようなスタッキングボックスです。ただ、キャリコやカバコのようにアゴの部分がないため、前面が丸ごと開口部になるのが大きな特徴です。
ボックスチェストL/LDと積み重ね可能
新商品のオープンスライドボックスは、従来からある引出式の「ボックスチェストMBC-L/LD」と積み重ねて使用することもできます。ちなみに、ボックスチェストは「BCチェスト」
と色が違うだけのはずなので、BCチェストと積み重ねることも物理的には可能じゃないかと思います。
強度面で若干の不安あり
新商品のオープンスライドボックスは、開口部が広くてモノの出し入れがしやすいだけでなく、引出しと組み合わせて使えるというのもメリットです。一方で、いわゆる前枠構造を採用しているものの、これでは強度を保ちにくいのではないかと思います。キャリコやカバコのようにアゴの部分がないので、左右方向に歪みやすいと考えられるからです。
実際、オープンスライドボックスは天板耐荷重だけでなく、積み重ね可能な段数も示されていません。収納可能な衣類の量の目安も示されておらず、メーカー自身も耐荷重に不安を持っているように見えます。
奥行が深すぎて何を入れたら良いやら…
強度よりも不安なのは奥行が深すぎてどう使えば良いのか分からないことです。外寸奥行は500mm、内寸奥行は455mmに及びます。
実質的な奥行が400mm弱のキャリコやカバコでも奥のほうに手が届きにくいのに、奥行が450mm以上もあるというのはさすがに深すぎるように思います。クローゼットに対して収まりが良いというメリットはあるものの、「カバクロ」のようにあまり支持が広がらないんじゃないでしょうか。
個人的には、同じくらいの寸法なら吉川国工業所(ライクイット)の「クローゼットシステム トレータイプL」のほうが使いやすいんじゃないかと思います。すごく割高感がある商品ですけど(苦笑)
ちなみに、こちらでキャリコやカバコおよび類似品についてよく取り上げているため誤解されるのですが、個人的にはこの手の商品はそもそも使い勝手が良いものだとは考えていません。使いやすいと感じる可能性がるのは、衣類を積み重ねて収納する人や、分別ゴミ箱として使いたい人だけです。衣類を立てて並べたい人は普通に引出式衣装ケースを使ったほうが良いと思っています。
あとは強いて言うと、こういったスタッキングボックスは引出式と違って内箱を作る必要がないためコストを抑えられるというメリットがあります。実際、この手の商品がヒットしたのは「同じ大きさでもこっちのほうが安いじゃん」という消費者が多かったためと考えられます。
収納は量より質が大事です。自分や家族にとって使いやすいということをまず第一に考えて選ぶようにしましょう。
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