今に始まったことではありませんが、リビングに壁面収納家具を置くご家庭が増えています。今ある家具を処分して買い替えるというのはなかなか難しいですから、新築や新居への引越し、リフォームなどの際に選ぶことが多いとは思いますが、家具の買い替えの予定がなくても何となく良さそうと思う人は多いのではないでしょうか。
今回は「何となく」ではなく、リビングに壁面収納家具が支持される明確な3つの理由を紹介したいと思います。
※この記事は2015年6月6日時点の情報に基づいています(2023年8月2日一部更新)
理由1. 地震対策として安心感がある
最近は地震や噴火のニュースが絶えません。阪神大震災、東日本大震災以降、地震をはじめとした天災に対する危機意識が顕在化し、消費者が持つ不安感とともに家具業界を取り巻く環境も大きく変わっていきました。収納はクローゼットなどの造り付けのものが主体となっていき、洋服タンスが売れなくなったのです。また食器棚も造り付けのものが支持されるようになってきました。
リビングでも地震対策を考えてパナソニックの「キュビオス」のような造り付けの収納家具が支持されていますが、やはりお値段も立派ですので万人に支持されるところまではいきません。そこで次善の策として一定の支持を得ているのが天井つっぱり式の壁面収納家具です。ちゃんと下地を作った壁などに固定してあるわけではなく、つっぱり式なので気休め程度の耐震性しか得ることはできませんが、普通に背の高い家具を置くのに比べれば十分な安心感があります。
理由2. テレビを中心にモノを一ヵ所に収納できる
テレビを見なくなったとは言え、まだまだテレビはリビングの顔です。テレビにはレコーダーやゲーム機が接続され、DVDやゲームソフトなども必要になりますから、テレビを壁掛けにしてもそこに収納家具が必要になります。
また、それとは別に諸々の日用品や雑誌などを別に収納するとなると、デザインを揃えたり、レイアウトに悩むことになりますが、壁面収納家具を置けばすべてのモノをテレビの周りに集めることができ、しかもデザインを統一させることで悩む必要がありません。
モノを一ヵ所にまとめて収納するようにすれば片づける際にどこに置くかを考える必要がなく、片づけやすく散らかりにくい部屋にすることが可能です。
理由3. 部屋が広く見える
「背の高い家具を置くと圧迫感が出る」というのは言わずと知れたインテリアの常識です。しかし日常生活を送るうえではインテリア性よりもまず快適さが求められます。一般的に家族それぞれが快適さを求めるとどうしてもモノは多くなり、それらを収納する場所が必要になります。そうして背の低い家具をすべての壁面いっぱいに並べるよりも、ひとつの壁面に背の高い家具を置いたほうがずっとスッキリとするのです。
圧迫感が生じるのは背の高い家具だけではありません。大事なのはむしろ「床がどれだけ見えているか?」なのです。ウソだと思ったらリビングに敷いてあるラグを畳んで他の部屋に持って行ってみてください。ラグのような高さ(厚み)のないものでも撤去すれば部屋は広く見えるのです。同様に座椅子でもアームチェアでも、もちろん3段カラーボックスでも、撤去すれば部屋が広く見えます。
背の低い収納家具をやめて背の高い壁面収納家具に置き換えることは、平屋の密集した宅地を更地にして、広い公園を持った高層マンションに建て替えるようなものなのです。
このように壁面収納家具は、(1)地震対策、(2)一元収納、(3)部屋を広く見せる、という3つの合理的な理由によって選ばれていると言えます。つまり、現代人のニーズに適ったものなのです。
一方、壁面収納家具は必ずしも使い勝手の良いものではないことに注意してください。「美しいものには棘がある」と言いますが、収納家具も同様に「見た目の良い家具は使い勝手が悪い」のです。インテリア性を重視すれば必ず使い勝手は悪くなります。扉付きの収納家具はモノが隠せて見た目は良いですが、中にモノを入れたまま「死蔵」しがちです。また、意外と棚板の可動ピッチが限られていて、思うように効率良くモノが収められないということもよくあります。
誰が、何を、どれくらい、収納したいか?―――壁面収納家具を選ぶ際は、そこをしっかりとシミュレーションして、最適な組み合わせを選ぶことが大切です。少なくとも引越しを機会に今までの生活ぶりを無視したり、設置スペースに合わせることを第一に考えてはいけません。
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