わたくし収納マンは新築の一戸建てやマンションに伺う機会がよくあります。セミナーでもマンションのモデルルームや住宅展示場のモデルハウスに呼ばれる機会が多いですから、割りと最新の住宅設備に触れる機会は多いほうです。なので、ちょっとやそっとのことでは驚きません。
ところが、先日お伺いした新築のお宅のキッチンの食器洗い機がスゴかった!「ビルトイン食洗機は収納力がないから据置型のほうが良い」という主張を考え直さなければならないと思いました。
※この記事は2016年6月13日時点の情報に基づいています(2023年9月24日一部更新)
まるで業務用のような大容量!ミーレの食器洗い機
日本ではシステムキッチンにビルトインされている食洗機は引出式が一般的です。一応6人分程度の食器が入るということですが、よほど食洗機に収まりの良い食器を揃えない限りは無理があると感じます。また、鍋やフライパンを入れるのはかなり難しいです。そのため、食洗機に入れて洗う食器を選んで、残りは手洗いするという段取りが必要になります。
一方、先日見せていただいた食洗機はドイツのMiele(ミーレ)の製品でした(日本では掃除機のメーカーという印象が強いかもしれません)。幅60cmタイプだったので当然庫内が大きいわけですが、それを抜きにしても断然庫内が広い!思わず、「これ、業務用ですか?」と聞いてしまうほど。実際12人分の食器が収まるというスペックで、ホームパーティーの後片づけでもまったく問題なさそうだと感じました。また、鍋やフライパンも楽々収まり、朝食時と昼食時に使った食器や調理器具をまとめて洗うことも可能だということでした。
これほど大容量ならビルトインでもまったく問題ないと思います。今回拝見したのは幅60cmタイプなので当然大きいわけですが、日本で主流となっている幅45cmタイプのラインナップもあり、同様に鍋などが収納しやすそうです。
ミーレの食洗機の大容量の秘密は扉式&大きな扉
ミーレの食洗機が大容量を実現している理由の一つは、引出式(スライドオープン式)ではなく扉式(フロントオープン式)だからと言えます。日本で主流の引出式は箱がしっかりし過ぎていて中の容量が小さくなってしまいますが、扉式だとバスケットが薄くて容量を多く確保できるのです。
もうひとつ、ミーレの食洗機は食洗機の扉がシステムキッチンの上から下まである大きなものであるため、大容量を実現できていると言えます。日本でも扉式の食洗機はありますが、実質的には引出式と変わらない大きさの扉で、容量はそんなに大きくはなっていません。
つまり、ミーレが業務用かと思うほどの大容量を実現できているのは、扉式で、扉の大きさも日本で一般的な食洗機よりも大きいからと言えます。日本では引出式が主流ですが、欧米では扉式のほうが一般的なようです。
素敵だけど狭い日本の住宅には適さないのかも?
ミーレの食洗機は洗浄性能が高く食洗機としての評判も上々のようです。温風乾燥機能はありませんが、それでも洗浄後しばらく放置すれば自然に乾燥するようになっているようです(2023/09/24追記:現在は温風乾燥機能付きが標準です)。それなら日本でももっとミーレのような大容量の食洗機があればと思うのですが、そこにはやはり日本独特の事情もあるのかもしれません。
和食器には糸切りがあり(茶碗の下の出っ張り)、そこに洗浄後の水が溜まるため、温風乾燥機能があったほうが良く、そのためには引出式のほうが密閉性が高くて良いという理由もあるのかもしれません。ただ、それよりも扉式で扉が大きいと日本の狭いキッチンではかなり邪魔になってしまうという問題があるのかなと思いました。
ミーレの食洗機の扉の高さはザッと70cmくらいあり、それがそのまま手前に倒れる仕様です。そうすると独立式キッチンの場合は通路部分が食洗機の扉を開けたときに封鎖されてしまいます。オープンタイプのキッチンでもダイニングセットとの間にスペースの余裕がないことが多く、邪魔なことに代わりはありません。そういった事情で、日本では食洗機を引き出してもあまり邪魔にならない、もしくは扉式でも扉が小さい仕様になっていることが一般的なのかもしれません。
でも逆に言うと、キッチンのスペースに余裕があれば、ミーレの食洗機は非常に良い選択肢なのではないかと思いました。2×4(ツーバイフォー)工法やメーターグリッドの家のキッチンは、システムキッチンの前のスペースが無駄に広すぎるくらいのことも多いので、そんなときはミーレの食洗機を設置することでデメリットを帳消しにすることができるように思います。
また、食洗機の扉を完全に開けた状態にするのは基本的に食器の出し入れのときだけなので、通路が遮断されるデメリットよりも大量に食器や鍋が入るメリットを重視するという考え方も十分アリだと思います。個人的にはそっちの考え方ですね。
ミーレの食洗機は国内メーカーのものに比べると相当高価ですが、200ボルト電源が通っていて寸法さえ合えば、既設のシステムキッチンにも取り付け可能だそうです。今回お邪魔したお宅でもタカラスタンダードのシステムキッチンにビルトインされていました。
我が家で使用している据置型の食洗機は、以前使っていたものより洗浄力が高くなった一方で収納量は減ったように感じられ、非常に使いにくく感じています。正直、これだったらもう収納量はどちらも期待できないのでビルトインにしちゃっても良いかなーと思いました。もっとも、据置型の食洗機は洗い置きとして使えるというメリットもあるので悩ましいところですが、お金に余裕さえあればミーレの食洗機は検討の余地ありかもしれないと考えています。
コメント
収納マンさん
いいですねードイツ家電。ガゲナウとかミーレ、、
ショールーム見てるだけで、ドキドキしてしまいます。
家電のデザインは、海外製品の方がお洒落な気がします。
素敵なキッチンなんでしょうねー
私、家を新築する時、建築家に、食洗機はミーレを勧められたんですが、値段高いので節約して、国産(フロントオープン)に。。、おっしゃる通り、庫内狭い。
庫内が大きくて、鍋も調理器具も全部突っ込んでガーと洗えてこそ、食洗機の良さが発揮できるのかも、、で、温風乾燥機能付いてないというのは、初めて知りました。
先週、停電になってしまって東電さんにSOSしたら、原因はミーレの洗濯乾燥機(10年経過)の漏電。ところが、ミーレのスタッフが数日後来たら、漏電直って正常に作動して、どこが原因かわからないんです。今週、代わりの洗濯乾燥機を用意してくれて、工場に持ち帰って検査してくれることに。10年経ってしまった家電を代替品を提供して修理するというのは、さすがミーレだなーと思いました。でも、10年経過すると色々、修理箇所も出てきて費用もかさむそうです。。買い直すと、結構高いし、かといって、洗面所は、ミーレのサイズギリギリで、施工してるし、、海外の住居のように、地下室や、バックヤード(土間みたいな感じ?)に気楽に、洗濯乾燥機、置けるといいですね。
「2×4(ツーバイフォー)工法やメーターグリッドの家のキッチンは、システムキッチンの前のスペースが無駄に広すぎるくらい」そうえいば知人の2x4宅、キッチン前のスペースが、大きくてデッドゾーンだなーーと不思議だったことあります。構造上の問題なんですねー
ぽんぽこさま
さすがぽんぽこさん、お目が高い。
私なんて下層階級ですから、ヨーロッパ製の生活家電なんか見てもついつい「私とは無縁のもの」と思い込んであまりよく見てきませんでした。
ショールームに行ってもシャネルやアルマーニのショップに入ったみたいな感じですごく場違いな感じがしてしまうんですよねー(苦笑)
これからはちょっと背伸びして勉強したいと思います^^;
それにしても10年以上使っている洗濯乾燥機の不調に代替品まで手配してくれるなんて、良いメーカーですね。
新興国の家電メーカーの躍進とともに日本メーカーのアフターサービスの在り方が問われている昨今ですが、価格が高くても満足感が高いサービスが受けられるのはやはり素晴らしいですよね。
日本の住宅は確かに融通が利かないところが多いです。
ソファー1本運び込むのも難しいことが多いですからね。
いろいろ問題があるかと思いますが、一言で言うとやはり「狭い」ことが一番の問題でしょう。
だからと言って単純に広くすることはできませんのでメーターグリッドというのは解決策のひとつとして良いなーと思います。
(私がもっとも住みやすい家を提供しているハウスメーカーと考える積水ハウスもやはりメーターグリッドが基本です)
2×4工法のキッチンも必ずしもキッチンが無駄に広いということはないとは思いますが、普通ならシステムキッチンで調理していて振り向いたら食器棚に手が届くところが、てくてくてくと歩いて食器棚に向かうという感じになることが多いですね。
コストや耐震性の面などのこともあるのでどんな工法も一長一短ですが、私はやっぱり快適に住めるというか、使い勝手の良い家が一番理想的です^^
収納マンさん
うちも庶民ですが、主人が秋葉原オタクなんで、電化製品だけ、うるさくて。。
(収納マンさんの記事で、洋服の量を見るとき、鞄とバッグの量と比較するというのありましたが、うちは、電化製品に偏ってるかも)
もう閉店してしまったのですが、昔、秋葉原に、ヤマギワリビナという輸入家電のショールームがあって、色々な各国製品、気楽に見ることができたんです。
周囲は、痛車が走っていたり、なんか異次元の世界の店舗だなーと思っていたら、消えて残念でした。セール時期があれば、結構、値下がりとかもあって。。
今は、輸入家電、単独のショールームで見るしかないのかな。。
そういえば、省スペースになればいいと、一体型のドラム式洗濯乾燥機(当時はミーレしか扱ってなかった気がします)を購入しましたが、ミーレのスタッフに聞くと、
できれば、洗濯機と乾燥機は別の方が、故障しにくいし、容量も大きくていいとのことでした。(二台だとさらに高いー軽自動車買えちゃう、、、)日本の家屋では、上下に設置することが多いが、ミーレでは、洗濯機も乾燥機も、平置きで横に並べるのを想定してるので、ドアの開く向きが左右違っていて、(二台並べて観音開き)上下に設置すると、ちょっと不便なそうです。
ミーレは保証期間長いですが、耐用年数は、使用頻度や使い方によってだいぶ変わるそうです、日本の家電は数年で部品廃盤にしますよね、前住んでいたマンションがタカラスタンダードのシステムキッチンのビルトインオーブンレンジでしたが、ターンテーブルのベルトが劣化して2回ほど、交換したのですが、メーカーの修理の人が、すでに廃盤になってしまった部品を、お客様のためにと個別に保管してるということで、交換しないで修理ですみました。
前に、住んでいたマンションが、冷蔵庫が壁の奥にしかスペースがなく、シャープの冷蔵庫のどっちもドア(左右どちらにも開く形式)で、助かった思い出があるのですが、日本の住宅事情に配慮した家電はいいですね。
冷蔵庫って右開きが多いと思いますが、左開きにしないと不便なことも。
そういえば、建築、尺とメーター、両方の単位あるんですよね、
収納マンさんの著書にあった棚卸しの単位の話とか、そういう数字のお話も、記事にしてもらうと面白いです。
ぽんぽこさま
メカは男のロマンですからねー(´ー`)
ヤマギワリビナ、私は行ったことがないんですけど、ハイクラスのインテリア用品を扱うところはこの10年ほどで大きなダメージを受けました。
時代の流れがどんどん早くなってますから、家電も家具も使い捨ての時代ということでしょう。
ミーレにせよ、シャープにせよ、お国柄や企業風土で設計思想は異なりますよね。
得意不得意というのもどうしてもありますし、消費者としては選ぶのがなかなか難しいところです。
私の著書にあったという棚卸の話…ロケーションのことでしょうか。
そう言えばロケーションという言葉は最近まったく使っておりませんで、私自身思い出すのに時間が掛かりました^^;
またその話もさせていただければと思います。
収納マン様、こんばんは。
ミーレの巨大食洗機ですが、ドイツなりの事情があります。ドイツでは流しがとても狭く、35cm四方が標準です。つまり、大きな鍋が流しでは洗えない(洗いにくい)のです。なので、食洗機に鍋が入らないと困るのです。
日本三毛猫さま
こんにちは^^
へーっ、ドイツにはそんな事情があるんですね!
食洗機の普及とともに、シンクが小さくなっていったのでしょうか?
日本でもミーレ並みの大きさと言わずとも、今の標準サイズの2倍くらいの大きさになってもらいたいものです^^
収納マン様
お久しぶりです
今日はウッドポールの仕切りについてアドバイスいただけますか?
現在仕事で使う資料をウッドポール(渡辺木材製 棚板幅90×奥行30×棚48間隔×3段)にキャスター付けて並べています。2階で使用しているので
①階段で運ぶのにバラしたり組み立てたりするのが簡単で一人でもできる
②7台あるが、木なのでスチール棚より軽い
③不要時、捨てるのが簡単
④スチール棚よりは明るくおしゃれ感がある
⑤パーツのラインナップがあるので棚板の高さも変更しやすい
という理由で15年前にパーツをそろえるのにそこそこ費用をかけました。今はもっと良いものがあるのでしょうが、もったいないので使おうと思います。
棚に対して仕切りがないので、今までは棚に段ボールを並べ、その中に資料を入れてました。見栄えも悪いし本来なら資料の内容ごとに仕切りをつけたいところなのですが、ブックエンド的なもので負けてしまう感じです。棚板の間隔は天地48センチにしてます。
突っ張り棒を縦使いにして棚板奥行30センチに対して2本位付けてみようかと思っているのですがどうでしょうか?やはり強度弱いでしょうか?
できたら棚板上下に穴を開けてに固定したくないのですが・・・
何かよい方法あればアドバイスお願いします
hiroさま
おひさしぶりです^^
こういうシチュエーションは少なくないでね。
クローゼットの枕棚に仕切りを付けたいという要望に近い感じです(サイズ的にも)。
ただ、クローゼットの枕棚の場合は置きたいモノはバッグ類などが多いですが、今回は書類ですかね?
にもかかわらず48cmも高さがあるということは、A3サイズの図面等を収納するということでしょうか。
もしそうでしたら、A3用のファイルボックスというのもあります。
これの口を正面に向けて立てれば仕切りになりますし、まとめて取り出すにも便利です。
ダンボール製なので頑丈とまでは言えないものの自立するはずなので、棚1段あたり2~3個使えば十分かと思います。
突っ張り棒を使うというアイディアもこの場合は悪くはないと思います。
棚板がフラッシュ合板ではなくパイン無垢で、側板で棚板を横から支える構造ではなく支柱で棚板を挟み込む構造だから、突っ張り棒を使っても変形しにくいからです。
それでも突っ張り棒だと滑りやすかったり、棚板が反ってくることもあるかもしれません。
まず1段で試してみられると良いと思います^^
※勝手ながらお名前を変更させていただきました。あしからずご了承ください。
収納マン様
早速アドバイスありがとうございます
実は文具店や無印等結構探したのですがA3用ファイルボックスは見当たらずニーズがないので存在しないのかと思ってました~
封筒サイズ角0に資料や見本を入れて保管しているので封筒が膨らむのと、棚の高さがA3の天地+αが必要になります。
ウッドポールを購入した当初は缶ビールの入っていた段ボールをもらってきて側面を切り取ってガムテープで補強しながら収納していました。早速、試しにアドバイスいただいたA3用ファイルボックスと突っ張り棒購入して試してみます
収納とファイリングは仕事の効率に欠かせないので助かります。アドバイスありがとうございました
※名前の件お気遣いありがとうございました(^^)/
hiroさま
A3用ファイルボックスは店頭で見かけることはないですが、amazonで調べるといくつかありますね。
ただ、薄いダンボールでできたものばかりなので、その中では先にご案内したものが割りと丈夫そうです。
資料を入れた大きな封筒や変形A3版の本なA3よりも高さのあるものはA3用ファイルボックスに入りませんが、それらは2つのファイルボックスの間に置き、収まるサイズのものだけファイルボックスに入れれば、ほとんど問題ないと思います^^