もともと私は無印良品の家具はまともな家具とは思わなかったのですが、最近はちょっと見る目が変わってきました。もともと家具メーカーに勤めていた私が見れば、無印良品の家具がいかにも素人が作ったものであることは相変わらずです。しかし、ニトリやイケアと比べてみると、なかなかのものだと思うことが多くなりました。
今回ご紹介する無印良品の木製AVラックもそのひとつ。ニトリのローボード(Nフィルン1200MBR)、イケアのBESTÅ(ベストー)テレビ台 引き出し付きと比較してみましょう。
※価格および仕様はすべて2019年12月23日現在のものです。
三社商品の外観と主な仕様の比較
無印良品・木製AVラック・幅110cm・オーク材
- サイズ:幅1100×奥行440×高さ505mm
- 価格:税込29,900円
- 主材:オーク(天板=突板、引出前板=無垢)
- 完成品
ニトリ・ローボード(Nフィルン1200MBR)
- サイズ:幅1200×奥行400×高さ500mm
- 価格:税込30,454円
- 主材:オーク突板
- 完成品
イケア・BESTÅ(ベストー)テレビ台 引き出し付き
- サイズ:幅1200×奥行400×高さ480mm
- 価格:税込19,490円
- 主材:フォイル合板
- 組立品
価格が一番安いのはイケアですが…
この3つの商品を比較した場合、まず価格を見てみると一番安いのはイケアのベストー・テレビ台(19,490円)です。一方で、ニトリのNフィルン1200MBRと無印良品の木製AVラックはいずれも税込約3万円となっています(無印良品は2018年8月に大幅値下げしました)。
無印良品の場合は完成品、イケアは組立品ですから、これくらい価格差があってもまったくおかしくないのですが、実はイケアのベストー・シリーズは基本的にフォルム仕上げと呼ばれるABS樹脂フィルム貼りの合板で、無印良品のオーク突板+無垢に比べてかなり安い素材です。
また、そもそも組立家具というのはちゃんと組み立てても、完成品の家具と同じように頑丈にはなりません。それはイケアの引出を見れば明らかなことで、一瞬で壊れます。ですので単純に価格ではなくモノの価値を比べた場合、無印良品はイケアよりも明らかにお得と言えます。
ニトリと比べてもやっぱり無印良品がお得
今度は無印良品とニトリを比べてみましょう。個人的には、全体としてみた場合にはニトリのほうがイケアよりも家具をちゃんと作っている印象があります。ニトリはもともとタンス屋ですからプロが見て手を抜くべきでない点は心得ていますが、無印良品の場合はあきらかに素人の設計です。しかしながら両社のテレビボードを比べた場合には、無印良品のほうが優れていると言えます。
価格差はほとんどありませんし、無印良品の木製AVラックにはガラスのフラップ扉が付いており、引出前板はオーク無垢で、価格差以上にコストパフォーマンスの良いスペックとなっています。
もっとも、無印良品は木も鉄も同じような感覚で扱いますから、引出前板のオーク無垢板の含水率なんてどうなってるのか、反ったり割れたりするんじゃないかって感じがします。スライドレールもぶっちゃけ、品質は低いです。なので、家具のプロとしてちゃんとした仕事を心掛けているニトリからすればあり得ないことだと思うんですけど、その点をあらかじめ承知したうえで購入するのであれば、無印良品の木製AVラックは良い選択肢だと思います。
無印良品の家具は、パイン材を主体に扱っていた頃は、もう本当にヒドイものばかりでしたが、ここ数年で急激に良くなったように思います。家具の設計のできる人が入ってきたんじゃないかと思うほど、致命的な欠陥のある家具はなくなりました。一方で木の扱い方は相変わらずの感があります。
また一方で、ニトリはともかく、イケアのような外面ばかり良い「使い捨て家具」が入ってくると、相対的に無印良品の家具がまともに見えるというのも事実です。やっぱり日本人が企画した商品というのは安心感がありますね。
今回は3社の120cm幅程度のロータイプのTVボードの比較をしてみましたが、ほかの商品を比較すればまた違う結果になる可能性は十分にあります。決して無印良品をべた褒めするつもりはありません。しかしながら今回の比較においては、無印良品の木製AVラックの完勝かなと思います。
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